ブータン🇧🇹より【カディンチェ柔道日記!No.11】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

南アジアのブータン王国でJICA青年海外協力隊として活動をしている福井勇貴さんからの活動報告です!


カディンチェ柔道日記🇧🇹🥋

※Kadrin Chhe la(現地語 ゾンカ)ありがとう
ブータン柔道はこれまで多くの方々のご協力、支援があってここまで来ました。
そんな感謝の気持ちからタイトルコールはカディンチェとさせていただきました。

 

皆様、お世話になっております。

JICA海外協力隊としてブータンナショナルコーチをしています。福井 勇貴(ふくい ゆうき)です。

先日日本の友人からメッセージが私に届きました。それは、日本では桜が見ごろシーズンというものでした。ブータンで生活をしていてやはり私が日本人だなと思う時がいくつかあります。それはお味噌汁やあったかい煎茶を飲んだ時などとほとんどが食事についてですが、その中でも景色として感じるのは、桜や春の季節です。ブータンで生活を始めて2年が過ぎた今少し日本の春の訪れの象徴である桜が恋しく感じますね。任期を終える来年の帰国時はちょうど桜の季節なので帰国後は友人とお酒を片手に花見に行きたいものですね。

さて今回のテーマは前回の最後にお伝えしたように、4月20日から香港で開催されましたAsian Judo Championships2024に出場しましたので、そちらについてお話しさせて頂こうと思います。

ぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです。 

ブータンチーム香港へ向けて出発

上記にも記載させていただいたように、4月20日から香港で開催されましたAsian Judo Championships2024に出場すべく私たちは4月17日に香港へ向けてブータンを出発しました。

ブータンはとても空路の便が悪く、どこかへ行くのにもタイやインドを経由しての渡航になっています。そのため、ブータンから国際大会に出場するには莫大な時間と予算がかかっているんです…。

今大会出場にもブータンから香港までで空港の待ち時間、トランジットの時間を全て含めて大体15時間の長旅となりました。(これは日本の成田から出ている最長距離の成田-メキシコシティよりも長い移動時間になります。成田からの最長距離の成田-メキシコシティ間は約13時間の飛行距離になっています。)

今回はParo(Bhutan)、Bangkok(Thailand)、Hongkong(Hongkong)という移動でした。

今回の旅程は大会まで中二日というスケジュールを組んだので、少し余裕を持った動きをすることができました。17日朝7時にThimphu(首都の私たちが生活している場所)を出発し香港のホテルに到着したのは、17日から18日の日付が変わった00:30頃でした。

到着後はホテルでゆっくり休息をとり、翌日は9:30に起床し全員で朝食をとりました。


Day1 in Hongkong

前日の夜の00:30ごろに着いた私たちはゆっくりシャワーを浴びて十分な睡眠をとり移動の疲れをとりました。朝9時に起床し、9:30に全員で朝食をとりました。その後、1時間半の休憩を挟み、11時ごろから近くの公園にて調整トレーニングを行いました。

大会前日は大会会場での調整練習が可能だったのですが、前々日のこの日は会場での調整ができませんでしたので、ホテルから歩いて5分ぐらいのところにあった大きな公園で調整メニューを行いました。

トレーニング開始から約15分程度は過ぎた頃、ゲリラ豪雨がやってきて屋根付きのベンチで雨が止むのを待っていたのですが、5分、10分待っても止むことはなく、どんどん勢いを増してしまったので、公園での調整を断念しホテルに戻ることにしました。

練習メニューも中途半端なところでのやむなくの中断だったので、ホテルへ戻りホテルのロビーを出たすぐ外の屋根があるところで少し続きを行い軽く汗を流しました。

今回の滞在ホテルにはありがたいことに部屋のシャワールームには浴槽がついていましたので、調整練習直後には浴槽にお湯を溜め選手たちは長旅の疲れと調整トレーニングの汗を流しリカバリーをしました。

Day2 in Hongkong

香港に到着して二日が経ったこの日は朝8:00に起床し8:30に全員で朝食をとりました。

その後私は大会のAccreditation(選手登録)があったためAccreditationを済ませ、11時から大会会場での最後の調整練習を予約していましたので、会場での調整練習を約1時間程度行いました。

実は今回の大会出場にあたって私たちは少し問題がありました。それは出場選手たちの柔道衣の国際大会用のゼッケンがボロボロだったということです。そのため、出場が確定した時に、今後国際大会に出場する選手の分も含めてヨーロッパのメーカーに新たな国際大会用のゼッケンのオーダーをしました。しかし、その公式メーカーのあるヨーロッパからブータンまでが配送ができないというもう1つの問題が起きてしまいました。

その問題をどうにか解消すべく今大会開催国の香港柔道協会さんにご連絡をさせていただいて、無理を承知で配送先になっていただき私たちのゼッケンの受け取りと出場選手の柔道衣への縫いつけをお願いしました。香港柔道協会の皆さんは快く引き受けてくださいました。ブータンまで配送できないゼッケンを香港で受け取っていただき、私たちが到着するまで保管、到着後に出場選手の柔道衣に縫い付けをしていただきました。

これには、かねてよりブータン柔道をサポートをいただいておりました元全日本柔道連盟の小貫紗綾子さんが香港柔道協会の方との調整をくださったという背景があります。この場をお借りして感謝申し上げます。また今回は二日前からの香港滞在ができたこともあり、選手たちのコンディションもとても高い状態でした。本大会は予想通り出場国、出場選手たちはアジアのトップクラスの選手たちが勢揃いでブータン代表選手たちは少し緊張した様子を浮かべながら最後の練習をしていました。

その後、ホテルに戻り私はテクニカルミーティングに参加し、その後すぐに翌日の選手の非公式計量と公式計量、柔道衣コントロールがあったので同行しました。


会場に到着後に準備をする選手たち


打ち込みの様子

組み手練習の様子

立技から寝技への連携の練習の様子


大会テクニカルミーティングの様子

翌日出場選手における柔道衣コントロールの様子

Day3 アジア選手権大会1日目

大会初日の4月20日は男子-60kg、-66kgと女子-48kg、-52kg、-57kg級の5カテゴリーの試合が行われました。当協会の-66kg級Kinley TsheringはイランのHamidreza Papi選手との1回戦の予定でしたが、相手選手の棄権によって2回戦からの出場となりました。

2回戦はキルギスタンのKubanychbek Aibek Uulu選手と対戦しました。結果は試合開始3分を過ぎた時に3つ目の消極的指導をもらい反則負けで2回戦敗退に終わってしまいました。

しかし、コーチボックスで見ていた私としては、Kinleyも積極的に相手に技をかけに行って、相手を投げに行くシーンもたくさんあったと思います。その中でも相手選手の方が私たちよりも多くの技数、最後までかけきる技というのが多かったため指導3をもらったのだと思います。

しかし、敗戦に終わったものの試合後のKinleyの顔つきはいつもの国際大会後とは少し違い心なしか、私には少し自信をつけて帰ってきたようにも見えました。上記にも記載しましたが、今大会はアジアのトップクラスの選手が出場する非常に高いレベルの大会だったため、Kinleyの2回戦の相手も-66kg級の世界ランク27位の選手でした。その高いレベルでの試合、対戦相手が強敵の中、自分の全力を出して戦うことができ、ある程度互角に試合を進めたシーンもあったからだと思います。

私自身も彼らを指導して一年以上が経ちます。私が彼らを指導して初めて国際大会の引率をしたのは、去年の4月にKuwaitで行われたAsian Open champion ships 2023 Kuwaitでした。その時は試合後に大会のフィードバックというよりも正直どこから指導するべきかとものすごく考えました。当時は今のように世界の強豪選手と対等に戦い、自分の柔道を見せることができるということが想像つきませんでした。今大会での善戦は、彼のこの1年間の努力の成果だと思います。

ブータンの柔道家は日本の選手たちとは違い日々十分といえない練習相手、環境の中でもがき地道に頑張っており、その結果がようやく少しずつ芽ができてきたと思います。しかし、コーチである私としては全く現状には満足していません。彼ならもっと高みを目指せますし、もっと高い場所まで辿り着くことができると信じています。今回の大会で得た経験というのはとても大きなものだと思います。その経験をしっかり今後に活かして、次の出場大会では、表彰台にのぼりたいと思いますし、コーチとして選手を表彰台に立たせたいと思います。


試合直前のアップの様子

Day4 アジア選手権大会2日目

大会二日目の4月21日は男子-73kg、-81kg、女子63kg、70kg級の4カテゴリーの試合が行われました。

二日目は当協会から-81kg級Tandin Wangchukが出場しました。

Tandin Wangchukの1回戦はマレーシア代表のAmir Daniel Bin Abdul Majeed選手と対戦しました。結果は試合開始30秒を過ぎた頃相手選手の豪快な一本背負い投げによって一本負けをしました。

今大会、Tandinは初の試みをしました。それは-81kg級での国際大会の出場です。かねてより-81kg級での国際大会の出場を希望していましたが、昨年はアジア大会出場の関係などによって-81kg級での出場を果たすことができませんでした。しかし、この大会の出場を決めた2月末のミーティングの際に-81kg級での国際大会の出場をしてみたい、-81kg級でどこまで自分が試合できるのか試してみたいという話がTandinからあり、今大会は-81kg級での出場を決めました。

しかし大会出場に当たってこれまでの-73kg級とは違い、-81kg級はさらに競技レベルが上がります。世界的にも-81kg級はとても選手数が多く、レベルも非常に高いです。その状況の中で私たちは大会出場を決定後から多くのことに挑戦し万全な準備をして、この大会に臨みました。彼自身のコンディションもとてもよく、初めての階級という緊張もありましたがその緊張感もいい刺激として試合に向かうことができました。しかし、結果は相手選手の一本背負い投げによって一本負けをしました。結果としてはとても悔しい結果になりましたが、彼にとっても私にとっても良い経験をすることができたと思います。また、この大会での敗戦が彼のモチベーションに更なる火をつけました。この大会で得た経験というのはとても大きなものです。この経験、悔しさ、モチベーションを決して一時的なものにせず、今後の大会出場に向け更なる準備に変えていきたいと思います。

また、次戦で彼が-73kg級での出場になるか、-81kg級になるかはまだ確定していませんが、精一杯の準備をチームとして行なっていき、Kinleyと同様に表彰台にのぼれるように日々精進していきたいと思います。

Other Shot of BJA

今回も少量ですが、ブータン柔道協会メンバーのオフショットを載せさせていただきたいと思います。


大会後自分のビデオを視聴している様子


ウォーミングアップの様子

ウォーミングアップのサーキットの様子


出場選手の背中(笑)


ブータン国営放送のインタビューの様子


初心者クラスの開始前の様子

さいごに

今回は、4月20日から香港で開催されましたAsian Judo Championships 2024の結果や様子、裏側などについてお話しさせていただきました。

11月に香港で開催された国際大会に出場してから約4ヶ月半が経ち、今回アジア選手権大会に出場することができました。今回の大会は冒頭でもお話しさせていただいた通りとてもレベルの高い大会で私たちにとってもとても厳しい状況になる大会と予想していましが、前大会での1回戦敗退という悔しい結果から、高いレベルの中でも今回は1回戦突破、2回戦、3回戦進出という目標で出場しました。しかし、今大会も結果としては1回戦、2回戦敗退という内容に終わってしまいました。正直今回の敗戦というのは、決して全てが悪いことだけではなかったと私は思います。また、これは出場選手の二人も同じだと思います。今大会に出場し高いレベルの中で奮闘し、私たちの力を出すことができたと思います。

このことは当たり前のようでとても難しいことだと私は思います。

今回出場した二人に関しては、私が実際に指導を始めたのは、2023年の3月です。

指導開始後1ヶ月以上が過ぎた時にKuwaitにて開催されましたAsian Open Judo Championships2023 Kuwaitに出場した際も全員が1回戦敗退という内容でした。この結果だけを見れば「あれ?何が変わっているの?」「また1、2回戦敗退だよね?」という風に思われるかもしれません。私としては、この一年で彼らは大きく変化しましたし、大きな成長をすることができたと思います。これに関しては、私がどうとかではなく、十分ではない環境、納得のいくものではないことを理由にせず、ひたむきに前を向いて努力を続けてきた彼らの一年の努力が、大きな成長へつながったと一番近くで見ていた私には感じられます。日頃からブータン柔道へ多くのサポートをしてくださっている皆さまの力もとても大きいです。この場をお借りして皆様には感謝申し上げます。ありがとうございます。

コーチである私は現状では全く満足はしていません。まだまだ彼らは上にいけますし、まだまだ高い壁を超えられます。そして彼らは超えなければならない存在だと思っています。

今大会に出場し私も含め選手たち、ブータン柔道全体が、改めてさまざまな課題をみつけることができました。この課題を一から洗い出し、修正し、次戦では更なる成長、結果を残せるように精進していきたいと思います。

次戦として、7 月18、19日に台湾にて開催のTaipei Asian Open2024を予定しています。

この大会での表彰台入りを目標に掲げ、チーム一丸となり稽古、トレーニングに励んでいきたいと思います。

今後も皆様にはブータン柔道を温かく見守っていただけると嬉しいです。更なる壁を越えるため、皆様の継続的なサポートは必要不可欠になると思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

次回について

次回は4月末にメイン柔道場から近隣の学校で柔道普及活動として柔道デモンストレーションを開催しましたので、そちらの様子や裏側、最近のブータン柔道協会についてお話しさせていただきたいと思います。

次回もお楽しみに。

少しでもこの記事を見てブータン柔道について興味を持っていただいたり、応援してくださったりすると嬉しいです。

最後までご覧いただきいただきありがとうございます。

Kadrin Chhe la(現地語ゾンカ)ありがとうございました。
Lok jae ge la(現地語ゾンカ)また会いましょう☺️

各種SNS
☆Bhutan Judo Association official Facebook
https://www.facebook.com/BhutanJudoAssociation?mibextid=LQQJ4d

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