インドネシア🇮🇩に指導者を派遣しました!

2026年9月6日から22日まで、インドネシア柔道連盟およびジャカルタジャパン柔道クラブのご協力のもと、JUDOsから東海大学男子柔道部の塩谷颯大選手をインドネシア🇮🇩へ派遣しました。塩谷選手から研修報告が届きましたのでご紹介します。


インドネシア柔道研修報告書

東海大学男子柔道部
塩谷颯大

1.研修概要

研修期間:2026年9月6日~9月22日
研修国:インドネシア
活動場所:ナショナルトレーニングセンター、各地の道場ほか
研修内容:柔道の練習、トレーニング、現地での生活体験および国際交流

2.現地での活動内容

今回、9月6日から約2週間、インドネシアで柔道の研修をさせていただきました。現地ではインドネシアのナショナルチームとともに過ごし、柔道の練習やさまざまなトレーニングに参加しました。また、ナショナルチームとの練習だけでなく、各地のさまざまな道場へ出稽古に行く機会もありました。

柔道以外にも、バンドンでの食べ歩きやショッピングモールでの買い物など、現地での生活を経験することができました。今回の研修では、柔道の技術やトレーニングについて学ぶだけでなく、日本とは違う環境で生活することや、言葉も文化も異なる人たちと関わることの難しさを知ることができました。

マレーシアでの練習

インドネシアへ向かう途中、マレーシアでも一度、柔道の練習に参加させていただきました。

以前、アイスランドでも柔道の練習を経験していたため、海外にも柔道が広がっていることは知っていました。しかし、今回のマレーシアでの経験は、それとはまた違った意味で印象に残っています。


ジャカルタへ向かう途中、クラカタウ火山の噴火による火山灰の影響でジャカルタの空港が3日間閉鎖となり、クアラルンプールで2日間足止めに。その間、急きょDJI柔道クラブの練習に参加させていただきました(写真下右、DJI柔道代表のクラブのレオ先生)

移動中の予定が思うように進まない中でも、近くに柔道の道場があり、急なお願いにもかかわらず、快く練習に受け入れていただきました。初めて会う人たちで、言葉や文化も違う中、一緒に柔道着を着て汗を流すことができました。困ったときに、柔道という共通点を通じて受け入れてくれる場所があり、一緒に練習できる仲間がいることを、とても素敵なことだと感じました。

普段は大学の仲間と当たり前のように練習していますが、海外でも同じように柔道に取り組む人たちがいて、こちらを温かく迎えてくれる。そのことがとてもうれしかったです。柔道は競技として技術を競い合うだけでなく、国や言葉の違いを越えて人と人とをつなぎ、困ったときにも助け合えるきっかけになるのだと思いました。

今回の経験を通して、柔道が持つつながりの力を改めて実感しました。自分もいつか、海外から来た柔道家が困っていたり、練習する場所を探していたりしたときに、快く受け入れられる人でありたいと思います。

インドネシアの選手との練習

インドネシアで実際に練習してみて、特に印象に残ったのは選手たちの力の強さです。見た目から想像していた以上に力が強く、特に組み合って近い距離になったときに、その強さを感じました。また、脊柱起立筋が発達している選手が多かったことも印象に残っています。実際に組み合ってみなければ分からないことも多く、海外の選手と練習することで、自分が普段練習している環境だけでは気づけない発見がありました。

一方で、日本と比べると組み手に費やす時間は少ないように感じました。練習の内容や進め方にも違いがあり、同じ柔道でも国や環境によって特徴があることを実感しました。

また、1週間の中で柔道の練習は4回ほどでした。日本の大学柔道では練習の頻度が高いことも多いため、その違いは印象的でした。ただ練習回数だけを比べるのではなく、柔道の練習以外にどのようなトレーニングを行い、どのように身体をつくっているのかという点にも目を向けることができました。

練習の最後には、毎回チームで円陣を組んでいました。練習が終わると全員で集まり、チームとしてまとまる時間を大切にしていることが伝わってきました。技術や体力を高めることだけでなく、仲間とのつながりやチームの雰囲気も大切にしていることが印象に残っています。

各地の道場への出稽古と柔道着のつながり

今回の研修では、ナショナルチームと一緒に練習するだけでなく、各方面のさまざまな道場へ出稽古に行きました。同じインドネシア国内でも、練習する場所や相手が変わることで、普段とは違った雰囲気の中で柔道に取り組むことができました。

現地にはナショナルチームが練習できる良い道場があるので、他のチームを招いて練習する機会を増やしてもよいのではないかと感じることもありました。もちろん、さまざまな道場へ出稽古に行くことには、普段一緒に練習していない選手と組むことができるという良さもあります。実際に活動している立場だからこそ、練習する場所や相手を変えることの意味について考える機会になりました。

また、訪問した道場で、とても驚いた出来事がありました。そこでは、日本からリサイクル柔道着として寄付された道着を着て練習している選手がいました。よく見ると、その道着は自分の知り合いが使っていたものでした。まさかインドネシアの道場で知り合いの道着に出会うとは思ってもいなかったので、本当に驚きました。

日本で使われていた柔道着が海を越え、遠く離れたインドネシアで現地の選手の練習に使われている。そのことを実際に目の当たりにして、日本からの寄付が現地の柔道につながっていることを実感しました。自分の身近な人が使っていた道着が、国を越えて別の選手の柔道を支えていると考えると、不思議な縁を感じました。

今回の研修では、マレーシアで急なお願いにもかかわらず練習に受け入れていただいたことや、インドネシアで多くの選手と一緒に練習できたことなど、柔道を通じた人とのつながりを何度も感じました。この出来事もその一つで、柔道は人と人をつなぐだけでなく、道具を通じてもそのつながりが続いていくのだと感じました。

さまざまなトレーニング

柔道の練習以外にも、さまざまなトレーニングに参加しました。ウエイトトレーニングやランニング、自重トレーニングのほか、柔軟性を高めるトレーニング、瞬発力を高めるトレーニング、身体の可動域を広げるストレッチに近い運動など、内容は多岐にわたっていました。

特に印象に残ったのは、筋力を高めることだけではなく、柔軟性や可動域、瞬発力など、身体のさまざまな能力を高めるためのトレーニングが行われていたことです。柔道では力の強さも重要ですが、身体を思いどおりに動かす能力や、瞬間的に力を発揮する能力も必要になります。今回のトレーニングを通して、技術練習だけでなく、身体づくりについても幅広い視点を持つことが大切だと感じました。

これまで自分が取り組んできたトレーニングと比べながら、今後の練習に取り入れられることはないか考える機会にもなりました。今回経験したことをそのまま取り入れるだけでなく、自分に必要なものを考えながら、今後の競技生活に生かしていきたいと思います。


ラグナン体育学校への出稽古の後で皆さんと

3.言葉の壁と現地での生活

言葉の違いによる苦労

今回の研修で、柔道と同じくらい印象に残っているのが、言葉の違いによるコミュニケーションの難しさです。

私はインドネシア語が分からず、英語についても十分に話せるわけではありませんでした。さらに、現地では英語を理解できる人も少なかったため、何かを伝えたいときには、まず自分の頭の中で日本語を英語に変換し、その英語を別の人にインドネシア語へ翻訳してもらうというやり取りが必要になることがありました。

日本語であればすぐに伝えられるような簡単なことでも、何度も言葉を置き換えなければならず、思った以上に時間がかかりました。自分では伝えたつもりでも、相手にうまく伝わっていなかったり、翻訳する過程で本来の意味が少し変わってしまったりすることもありました。伝えたいことが頭の中にあるのに、それを相手に伝えられないもどかしさを何度も感じました。

特に難しかったのは、柔道に関する話です。柔道は実際に身体を動かしながら説明できる部分もありますが、技術の細かいポイントや、自分が感じたことを言葉で伝えようとすると簡単ではありません。日本語なら感覚的に説明できることでも、英語に置き換えようとすると適切な言葉が思い浮かばず、さらにそれをインドネシア語に翻訳してもらう必要があるため、伝えたい内容を正確に届けることの難しさを感じました。

また、相手が何を話しているのか分からない場面でも、何となく理解できたつもりになってしまうことがあります。しかし、実際には細かい意味を理解できていなかったり、相手の意図を十分にくみ取れていなかったりすることもありました。コミュニケーションは自分が話すだけではなく、相手の話を理解することも大切です。その両方が十分にできない環境で生活することは、自分にとって大きな挑戦でした。

今回の経験を通して、語学力を身につけることの大切さを改めて感じました。それと同時に、言葉が十分に通じない場合でも、実際に動いて見せたり、簡単な言葉を使ったり、相手の反応を確認しながら伝えたりする工夫が必要だと学びました。海外で活動するためには、語学力だけでなく、相手に伝えようとする姿勢や、伝わる方法を考える力も大切なのだと思います。

バンドンでの食事やショッピング

柔道の練習やトレーニング以外では、バンドンで食べ歩きをしたり、ショッピングモールに行ったりする機会もありました。

練習中は柔道に集中する時間が多かったですが、街に出ることで、現地の食事や買い物など、普段の生活に触れることができました。実際に現地を歩き、食事をし、ショッピングモールで過ごすことで、練習だけでは分からないインドネシアの雰囲気を感じることができました。


稽古の合間に選手たちと一緒にカフェへ

海外に行くと、どうしても観光地や有名な場所に目が向きがちですが、こうした何気ない時間も現地を知るためには大切だと思います。食事や買い物を通して、現地での生活を少し身近に感じられたことも、今回の研修の思い出の一つです。

柔道の練習だけをして帰るのではなく、現地の街を実際に歩き、その土地の文化に触れられたことは、海外で研修するからこそ得られる経験だったと思います。

最終日のJJJCでの練習と道着のプレゼント

研修最終日には、JJJCの練習に参加させていただきました。最後まで現地の選手たちと一緒に柔道ができたことは、今回の研修を締めくくる大切な経験になりました。

JJJCの皆さんと練習後に


「東海」の名前の入った柔道衣は世界中どこでも大人気だそうです!

その練習では、一緒に練習した選手の一人に、自分が使っていた柔道着をプレゼントしました。今回の研修を通じて、現地の選手たちと同じ道場で練習し、柔道を通して関わることができました。そこで出会った選手に自分の道着を渡せたことは、自分にとっても特別な出来事でした。

柔道着は柔道をするための道具ですが、自分にとっては、これまで日本で柔道を続けてきた中で使ってきたものでもあります。それを現地で一緒に練習した選手に渡すことで、今回の出会いを形に残せたように感じました。

日本から寄付された道着が現地の選手に使われている場面を目にしたこともあり、柔道着を通じて人と人とのつながりが生まれていることを、より身近に感じました。自分がプレゼントした道着も、これからその選手の柔道生活の中で役立ててもらえたらうれしいです。

国や言葉が違っても、同じ柔道に取り組んでいるからこそ生まれるつながりがあります。今回の研修で出会った選手たちと、今後またどこかで一緒に柔道ができたらうれしいです。最後に道着をプレゼントできたことも、今回の遠征で忘れられない思い出の一つになりました。

現地の方々との食事会

JJJCでの練習の後には、現地に住んでいる日本人の方々を中心とした食事会にも参加させていただきました。


JJJCの日本人柔道家とインドネシア人選手と昼食会後に記念撮影

今回の研修では、柔道の練習相手や指導してくださる方々だけでなく、現地で生活している日本人の方々とも関わることができました。海外で生活する中で、現地の方々と関係を築きながら活動されている方々と話す機会を持てたことは、とても貴重な経験でした。

インドネシアでの生活や活動を振り返ると、自分一人の力だけで今回の研修をやり遂げることはできなかったと思います。練習の場を用意してくださった方々、現地で関わってくださった方々、言葉の面で助けてくださった方々など、さまざまな人の支えがあったからこそ、約2週間の研修を乗り越えることができました。

JJJC(ジャカルタ・ジャパン柔道クラブ)の安齋俊哉先生(左前)と太田雄一郎先生(中央後)には、受け入れ前の準備から帰国まで、終始温かくサポートしていただきました

自分が柔道の練習に参加できることも、現地で生活できることも、決して当たり前ではありません。多くの方々が時間や労力を使い、支えてくださったからこそ、今回のような経験ができたのだと思います。食事会を通して、人とのつながりや、支えてくださる方々への感謝の大切さも改めて感じました。

今回お世話になったすべての方々に、心から感謝しています。

4.今後の柔道・指導への活用

今回の研修では、自分自身の柔道についてだけでなく、今後指導する立場になったときに生かせることも学びました。

特に意識したいのは、相手に分かりやすく伝えるための工夫です。技術を説明するときには、言葉だけで伝えようとするのではなく、まず自分が動きを実演して見せることが大切だと感じました。また、一度に多くのことを説明するのではなく、重要なポイントを絞って伝えることも必要だと思います。

さらに、反復練習の中で適切な助言や補助を行い、相手が実際に動きながら理解できるようにすることも意識したいです。今回の研修では、言葉が十分に通じないことで、自分の伝えたいことを相手に理解してもらう難しさを経験しました。その経験があったからこそ、指導する際には、相手に伝わっているかを確認しながら説明することが大切だと感じました。

また、技術を言葉にして説明することは、相手に伝えるためだけでなく、自分自身の理解を深めることにもつながると思います。普段は感覚的に行っている技術でも、いざ言葉にして説明しようとすると、うまく表現できないことがあります。技術のポイントを自分の言葉で整理することで、自分が何を意識して動いているのかを改めて確認することができます。

今回経験したトレーニングについても、今後の練習に生かしていきたいです。柔軟性や可動域、瞬発力など、さまざまな要素を意識しながら、自分に必要なトレーニングを考えて取り組みたいと思います。

海外での研修は、自分が普段当たり前だと思っている練習環境やコミュニケーションの方法を見直すきっかけになりました。今回学んだことを一時的な経験で終わらせず、自分の競技生活や今後の指導に少しずつ生かしていきたいです。

5.移動中のトラブル

今回の遠征では、現地での活動だけでなく、行き帰りの移動にもさまざまな出来事がありました。

行きは火山の噴火によって空港が閉鎖され、予定どおりに移動できない状況になりました。そして帰りも、台風の影響で飛行機が遅延しました。当初は9月21日の夕方に日本へ到着する予定でしたが、実際に日本に到着したのは翌22日の朝でした。帰国の際にはマレーシアで足止めされる時間もあり、最後まで予定どおりにはいきませんでした。

「トラベルにトラブルはつきもの」とはよく言いますが、まあ、今回は旅行ではないですが(笑)。

行きも帰りも予想していなかったことが起こり、海外で活動する際には、こうしたトラブルにも対応しなければならないのだと実感しました。移動の予定が変わると、その後の行動にも影響が出るため、大変なこともありました。それでも、周囲の方々に助けていただきながら日本に帰ってくることができました。

今となっては、こうした出来事も含めて忘れられない遠征になったと思います。予定どおりに進まないこともありましたが、それも海外で研修する中で経験した大切なことの一つです。

6.まとめと感謝

今回のインドネシア研修では、柔道の技術やトレーニングだけでなく、海外で生活することや、異なる言語・文化を持つ人たちと関わることについて、多くのことを学ぶことができました。

現地の選手たちと実際に組み合うことで、日本とは異なる身体的な強さや練習の特徴を感じることができました。また、さまざまな道場への出稽古や多様なトレーニングを通して、自分の柔道や身体づくりについて考える機会にもなりました。

一方で、言葉が通じないことで、自分の考えを伝えることや相手の話を理解することに苦労しました。しかし、そのような環境だったからこそ、相手に伝えようと工夫することの大切さや、言葉以外の方法でコミュニケーションを取ることの重要性を学ぶことができたと思います。

そして何より、今回の研修を通して、多くの人に支えられていることを実感しました。現地で柔道をする機会をつくってくださった方々、練習をともにしてくれた選手たち、言葉や移動、生活の面で助けてくださった方々、そして今回の研修に関わってくださったすべての方々に感謝しています。自分一人では経験できなかったことばかりであり、多くの方々の協力があったからこそ、無事に研修を終えることができました。

マレーシアで急なお願いにもかかわらず練習に受け入れていただいたこと、インドネシアで出稽古に行った道場で知り合いの柔道着に出会ったこと、そして最終日に自分の道着を現地の選手にプレゼントできたこと。これらの出来事を通じて、柔道を通じた人とのつながりを何度も感じました。

日本から寄付された道着がインドネシアで使われていたように、自分が使っていた道着も、これから現地の選手の柔道を支えるものになればうれしいです。柔道をしていたからこそ出会えた人たちがいて、その人たちに助けてもらいながら今回の研修を終えることができました。自分もいつか、誰かが困っているときに手を差し伸べられる人になりたいと思います。

このような貴重な機会をいただけたことに、改めて感謝申し上げます。今回の経験を自分の中だけにとどめるのではなく、今後の競技生活や指導活動に生かし、少しでも成長した姿を見せられるように努力していきたいと思います。

今回お世話になった皆様、本当にありがとうございました。