ミャンマー🇲🇲より【めんでん 柔道記 No.12】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

ミャンマー🇲🇲・ネピドーで柔道指導を行っている平沼大和さんからの活動報告です!

12回からはEnglish versionも作成いただきました!


めんでん 柔道記
〜4,364km離れたミャンマーの地で🇲🇲vol.12〜

※めんでん:漢字表記でミャンマーのことを指す。旧ビルマ

皆様、こんにちは。ミャンマー柔道ナショナルチーム監督の平沼です。

こちらに来てから1年と9ヶ月が経過しましたが、皆様からの温かい応援とサポートに支えられ、ここまで活動を続けることができています。心から感謝申し上げます。現在も日々奮闘しながら、選手たちの成長や国際大会への出場、少年柔道の指導を通じて、ミャンマーでの柔道の普及・発展に力を注いでおります。

ミャンマーでは先日、台風「ヤギ」による被害を受け、各地で復興支援作業が続いています。幸いなことに、私が住んでいる首都ネピドーや第1経済都市ヤンゴンでは大きな被害はなく、日常生活や柔道の活動も問題なく続けられています。しかし、このような困難な状況の中で、柔道の活動ができることのありがたさを日々改めて感じています。

日本の皆様からいただく温かいご支援や励ましの言葉は、私だけでなく、選手たちにとっても大きな励みとなっております。日々の練習や試合に向けた準備において、皆様の応援を力に変えながら、全力で取り組んでいます。

これからもミャンマーでの柔道の発展に尽力してまいります。引き続き、変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて今回は9月21日と22日にタイのチョンブリで開催された「Thailand International Judo Championship 2024」にミャンマーナショナルチームから8名が出場しましたのでご報告させていただきます。

Thailand International Judo Championships 2024 

 

今回の試合は、日本から4,312km離れたタイ・チョンブリーにあるThailand National Sports University Chonburi Campusで開催されました。チョンブリーはバンコクから車で約2時間の距離にあり、多くの日本企業が進出しているエリアでもあります。また、歓楽街で有名なパタヤも近くに位置しているため、非常に活気にあふれた場所です。そのため、世界中から多くの人々が集まっており、大会も非常に盛り上がっていました。

今大会には韓国、フランス、UAE、スリランカなどの国々からも参加があり、昨年参加したマレーシアでの国際大会と比較しても、より高いレベルの大会となっていました。 

大会のカテゴリーは「投の形」と「柔の形」の2つで、さらに「カデット」と「シニア」の2部門に分かれ、計4部門で競技が行われました。私たちミャンマーナショナルチームからはカデット部門に1名、シニア部門に7名が出場しました。その結果、銀メダル4つ(投の形:カデット1つ、シニア2つ)と銅メダル5つを獲得することができました。

今大会は非常にレベルが高く、当初はメダル獲得は難しいだろうと予想していましたが、予想に反して全選手がメダルを獲得するという素晴らしい結果を残すことができました。昨年のマレーシアでの国際大会以降、今回が初めての国際大会でしたが、この結果を通じて、これまで私たちが取り組んできたトレーニングや指導が正しかったという自信に繋がりました。

PTA JAPAN パークトレーナーズアソシエーションジャパン

今回の大会でも、PTA JAPAN(パークトレーナーズアソシエーションジャパン、以下PTA)の皆様に多大なサポートをいただきました。PTAの皆様は、私がミャンマーに赴任する以前からこの国の柔道界を支援してくださっており、これまでにも柔道ナショナルチームに対して脱臼の応急処置やテーピングの方法に関する講習を実施していただくなど、多くの貢献をしていただいています。さらに、SEA GAMES (Southeast Asian Games) においても、選手たちのサポートをしていただいております。

今回の大会でも、多くの選手が怪我に見舞われた中で、しっかりとしたトレーナーが不足しており、もしPTAの方々が無償でサポートを提供してくださらなければ、適切な処置ができなかった場面も多々ありました。大会期間中、怪我人が続出しており、特に東南アジアにおけるスポーツ医学やトレーニングサポートのレベルの低さが露呈しました。そのような状況の中、PTAの皆様の迅速な対応と献身的なサポートがあったからこそ、選手たちは無事に試合を続けることができました。

PTAの皆様は無償でこの活動を続けておられ、その尽力には頭が下がる思いです。彼らのサポートがなければ、大会が安全に進行することは難しかったと感じています。今後もこうしたサポートの継続が、ミャンマーの柔道界や東南アジア全体のスポーツ医療の向上にとって非常に重要だと強く感じました。

海外で活躍されている先生方にもお会いすることができました

今大会期間中、海外で活動されている先生方ともお会いする機会がありました。同じくJUDOsで活動報告をされている、ブータンで「カディンチェ日記!」を執筆されている福井勇貴先生と、ラオスで「サバイディー柔道物語!」を連載されている菊地友輝先生にお会いすることができました。

さらに、驚くべきことに、私が指導している生徒と福井先生、菊地先生が指導している生徒同士が、試合で対戦するという機会にも恵まれました。異国の地で出会った同じ志を持つ先生方と、そしてその教え子たちが試合を通して対峙する瞬間は、とても感慨深く、貴重な経験となりました。

このように、柔道という共通の絆を通じて海外での活動が繋がり、他国で活躍する指導者やその生徒たちと交流できたことは、私にとって大変有意義な時間でした。また、このような経験が生徒たちにとっても大きな刺激となり、彼らの成長につながることを期待しています。


 PTA JAPANの皆様とミャンマー柔道ナショナルチームの記念写真

 
応急処置の様子

菊地先生が指導されているラオスの選手との試合の様子

福井先生が指導されているブータンの選手との試合の様子

おわりに

今回の大会を通じて、ミャンマー柔道ナショナルチームとしてさらなる成長を遂げることができ、多くの成果を得ることができました。高いレベルの大会に出場し、選手全員がメダルを獲得できたことは、これまでの努力が実を結んだ証であり、今後のさらなる飛躍への自信にも繋がりました。また、PTAの皆様をはじめ、無償でサポートしてくださった多くの方々のおかげで、安全かつ効果的に大会を乗り越えることができたことにも感謝の意を改めて表します。

さらに、海外で活動されている柔道指導者の皆様との貴重な交流や、自分たちの生徒が他国の指導者の生徒と対戦するという経験は、指導者としても新たな学びと刺激を受けました。柔道を通じて、異国の地で共に成長し合える関係が築けたことは、今後の活動にとって非常に価値あるものとなりました。

これからもミャンマー柔道の発展と普及に向けて、選手たちの成長を支え、国際舞台でさらに成果を挙げられるよう精進してまいります。引き続き皆様からのご支援とご指導を賜りながら、一歩一歩前進していく所存です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

参考文献

1. タイの地図/Apple Maps https://maps.apple.com/?address=111 Moo 1 Sukhumvit Road, Nong Mai Daeng, Mueang Chon Buri, Chonburi 20000, Thailand&auid=16750876310725609&ll=13.408928,100.992647&lsp=9902&q=Thailand National Sports University – Chonburi Campus&t=m

2.Thailand national Sports university Chonburi campus の地図/ Apple Maps https://maps.apple.com/?address=111 Moo 1 Sukhumvit Road, Nong Mai Daeng, Mueang Chon Buri, Chonburi 20000, Thailand&auid=16750876310725609&ll=13.408928,100.992647&lsp=9902&q=Thailand National Sports University – Chonburi Campus&t=m

3.ブータン🇧🇹より【カディンチェ日記!

4.ラオス🇱🇦より【サバイディー柔道物語!

平沼大和(ひらぬまやまと)

1997年北海道生まれ、2023年ミャンマー柔道連盟ナショナルチーム代表監督。中央大学商学部会計学科卒業、体育連盟柔道部所属。柔道実業団選手としてスポーツひのまるキッズ協会に所属の後、カナダ柔道連盟ナショナルチームアシスタントコーチを経て現職。


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