ポーランドに廣川彰信氏を派遣しました!

NPO法人JUDOsは、9月22〜29日、ポーランドに廣川彰信氏(東海大学講師)を派遣しました。

今回の派遣は、今年の夏の国際親善週間に東海大湘南校舎を訪れたポーランドのクラブチームから指導者派遣を要請を受け、実現したものです。

廣川氏からの報告を掲載します。


今回、私はワルシャワ市とグダニスク市を訪れ、ワルシャワ市では2カ所の柔道クラブで計3回、グダニスクでは10クラブ近くが集まったなかで合同の柔道教室を行った。いずれも寝技を中心に基本的な動作から発展的な技術を指導した。どのクラブでも共通していたのが小学生は、立技は「背負投」、寝技は「三角絞からの抑込」を得意技として練習している選手が多いということだった。

 


 グダニスク市ではグダニスクスポーツ大学を訪れた。同大学では、週に1度(水曜日)、様々な柔道クラブや愛好家が集まり合同練習をしていた。世界代表クラスや世界ジュニア2位の実績を持つ選手、また柔術の選手、知的障害を抱えている子供など幅広い人々が集まりそれぞれの目的を持って柔道をしていた。ポーランドでは各地でこのように、様々な人たちが集まって一つのスポーツに取り組んでいるとのことだった。

 このように練習環境が整い、世界的にも活躍している選手も多いポーランドだが、幼少期から大人まで柔道を続けられる環境にある人はとても少ないということがわかった。

 運動の基礎を身につけ、礼法を学びながら人間力を向上させるための幼少期の習い事として保護者からの人気は高いが、レベルが上がっていっても、高度な技術を教えることのできる指導者が少ないため、続けられないのだという。指導者の中には、自分たちの技術力不足、経験不足を嘆き、ポーランド柔道の発展を心配する人たちが少なからずいた。

 このような現状を知るにつれ、ポーランドでは柔道の本質的な価値は理解されてはいるが、社会環境・指導環境的な要因が継続を難しくさせているのだと私は理解した。日本のように高校、大学、そして企業(実業団)で柔道を続けることができる環境は極めてまれであり、改めて日本柔道を支える環境や日本という国の豊かさを心から感じた。

 最後に、日本の文化を学びたい、日本に行って柔道を学びたいと思っている指導者がポーランドには多くいることも書き添えておきたい。

 視察に訪れた大会(「XXI WARSAW JUDO OPEN2019」)の会場である指導者が「日本に行って柔道を勉強したい。日本の文化を実際にいって見てみたい」と声をかけてきた。そう思っているのはこの人だけではないと思う。ポーランドは柔道を求めており、また日本の協力を得て柔道・スポーツの環境を整えたいと考えている。何らかのかたちで日本が協力できたら両国の関係とポーランドでの柔道の価値はさらに高まっていくのではないかと思う。