ミャンマー🇲🇲より【めんでん 柔道記 No.7】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

ミャンマー・ヤンゴンで柔道指導を行っている平沼大和さんからの活動報告です!

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めんでん 柔道記
〜4,364km離れたミャンマーの地で🇲🇲vol.7〜

作成者:平沼 大和
作成日:2024/02/05
めんでん:漢字表記でミャンマーのことを指す。旧ビルマ

皆様こんにちは。この記事が2024年1番初めの「めんでん柔道記〜4,364km離れたミャンマーの地で〜」となります。

まずはじめに年始に震災に見舞われた方々、そしてその二次災害が生じてしまった航空機事故の関係者の皆様にお悔やみ申し上げます。1日でも早い復旧及び復興を心からお祈りいたします。

さて今年2024年は甲辰(きのえ・たつ/こうしん)年。
陽明学者 安岡正篤氏の著書『干支の活学』から甲(きのえ・こう)は
① 甲は物事の始め、始まり
② 旧体制が破れて、革新の動きが始まるという意味
辰(たつ・しん)は
① 辰は地震のシン。物事が活発になる(手偏を付けると振、貝偏を付けると賑わう)
② 理想に向かって辛抱強く、かつ慎重に、色々の抵抗や妨害と闘いながら歩みを進めて行くという意味。と書かれております。

前回の甲辰の年は昭和39年、西暦1964年にあたり世界初の高速鉄道の東海道新幹線開業。

さらにアジア初となる東京オリンピック・パラリンピックが開催されるという日本の輝かしい歴史の中の一つとなった年です。

それらを皮切りに日本が発展していた様に、2024年も更なる理想に向かって辛抱強く、かつ慎重に、色々の抵抗や妨害と闘いながら歩みを進めて行き、いまから、ここから出発していきたいですね。

そんな中、ミャンマー柔道界でも更なる理想のための一歩として全国大会が開催されました。今回はその試合に関してご報告させていただこうと思います。

All Myanmar Judo State and Division Games/All Myanmar judo championships

今回の試合はスポーツ省とミャンマー柔道連盟のご協力の元、1月8日から13日の6日間、首都ネピドーのWunna Theikdi Stadiumにて開催されました。

All Myanmar Judo State and Division Gamesの試合は、日本で国民体育大会にあたるミャンマーにおける全国大会になります。参加者は国際大会出場経験者を除いた選手という制限があり、私たちナショナルチームや下部組織のユースキャンプから選手が数名出場しました。他には軍隊にスポーツ選手として所属している選手や体育学校の生徒も参加しており、総合優勝を飾ったのはカチン州チームでほぼ全階級を制覇し圧倒的な力を見せつけました。

またAll Myanmar judo championships の方では、国際大会出場経験者や年齢といった制限はなくナショナルチームの選手も出場することができました。結果は全階級合わせて多くのメダルを獲得することができ、総合優勝並びに男子 -73kg La Yaung Shan 選手が最優秀選手賞を獲得することができました。


総合優勝カップを受賞した選手たち


男子-73kgで最優秀選手に輝いた La Yaung Shan 選手

試合を終えて〜新しい可能性と課題解決に向けて〜

今回の試合で私個人としては、教え子が出ているもののナショナルチームの監督として参加させていただいているので、コーチボックスに入ることはなく出来るだけ公平な立場で試合を観戦させていただきました。私の役割としては、1年間の選手の積み重ねの評価とミャンマー柔道全体の多面的な分析。そして新しくナショナルチームに招聘する選手のピックアップと頭をフル回転をして大変疲れました。

まず選手の分析に関して、ミャンマーに到着した際には組手を二つしっかり持って柔道が出来ず、片方の襟を掴んでの攻撃が中心でした。またトレーニングがランニング中心だったため全体的に線細く力強さが足りなかったり、寝技の選択肢がなかったりと課題は多くありました。

そういった地点からスタートをした私たちの活動ですが、今回の試合ではそういった課題点を克服し、いわゆる綺麗な柔道(組手を2つ持てて、立ってよし寝てよしの柔道)をできる選手が大半を締めて、投げによる一本勝ちでの決着が多く見られました。

寝技に関しても向上が見られ、特に-55kg のHtike Htike Kyaw.選手は全試合のうち2/3を締め技、関節技で仕留めることができ大いに進歩した印象を持ちました。とはいえ、全員の選手が着実に進歩しているわけでもないので引き続き指導を続けていきたいと思います。

次に、ミャンマー柔道の課題として一つ取り上げるとしたら「継続して練習に取り組むことが難しい」という点です。
前述したカチン州のチームは、1年を通して継続的に練習に取り組むことができているそうで、やはり技術面はもちろん、選手個人個人の柔道に対しての姿勢や雰囲気といった漠然とした印象から、スタミナやパワーといった具体的な点まで練習ができているという印象を受けました。よくよく話を聞いてみると、カチン州においては公的機関と民間組織が協力をして先生や選手に金銭を支払い柔道ができる環境を整えているとのことでした。
ご存知の通りミャンマーは今年で軍事クーデター発生から3年が経過し、各地で反戦活動が勃発しそもそも生きることが大変な状況の地域が多くあります。
なので私たちナショナルチームも含めカチン州の例は特例でしょう。
ただ柔道を長年やってきた身として短期間での練習。ましてや1年間を通してまばらな練習形態だと柔道を強くなることは非常に困難であることも確かな事実です。そういった背景と現実を考えながら、今後ミャンマー柔道界としては「継続して練習が出来る環境を整える」ことが必要だと考えました。

もちろん難しい状況であることは承知の上ですが、そんな中でも稀に可能性がある選手を今回の試合で発掘することが出来ましたし、このミャンマーの社会情勢の中でもカチン州が継続して練習に取り組んでいる事実があることから、可能性を最大限に活かし、弱味を少しでも克服
出来ると信じています。私もその未来に向けてお手伝いさせていただく所存です。


女子52kg級のメダル授与をさせていただいている筆者

おわりに

今回の試合では、ナショナルチームの監督の立場として参加させていただき、今までと違った視点や視野で試合を観戦させていただきました。ミャンマー柔道の確かな前進と新たな可能性の発見もすることができ、さらにはこの経験を通して多くの学びと気づきを得ることができました。

コントロールできないコトが多くある、昨今のミャンマーの状況ですが、真摯に向き合い
出来ることに取り組み未来に希望を持って進んでいきたいと思います。

今年はパリオリンピックが開催されミャンマーは特別枠で出場できる可能性があります。

この目標を実現できるように自分を全うします。

From Now on !!

参考文献

 新装版 干支の活学 人間学講和/安岡正篤/プレジデント社/2015年8月7日

平沼大和(ひらぬまやまと)
1997年北海道生まれ、2023年からミャンマー柔道連盟ナショナルチーム代表監督。中央大学商学部会計学科卒業、体育連盟柔道部所属。柔道実業団選手としてスポーツひのまるキッズ協会に所属の後、カナダ柔道連盟ナショナルチームアシスタントコーチを経て現職。


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