ミャンマー🇲🇲より【めんでん 柔道記 No.5】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

ミャンマー・ヤンゴンで柔道指導を行っている平沼大和さんからの活動報告です!

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めんでん柔道記
〜4,364km離れたミャンマーの地で🇲🇲vol.5〜

漢字表記でミャンマーのことを指す。旧ビルマ

 皆様、ご無沙汰しております。私事ですがミャンマーで活動をし始めてから9ヶ月目を迎えることが出来ました。やはりその国々には独特な文化やシステム、因習等があり、それらにようやく慣れてきたところです。特にミャンマーは敬虔な仏教国であるため

慈愛の精神が大変強く上下関係がはっきりしている反面、「こうあるべき」といったモノが強い印象です。私が知る日本と似ているところも多くあり、やはり同じアジア圏だなと感じますし、インドを境に文化が変わると聞いたことがありますが大変納得します。

 さて今回は2023年9月26日に首都ネピドーで開催された株式会社プロックス、パークトレーナズ協会ジャパン様(以下PTAと略す。)によるテーピング・ストレッチセミナーについてご報告させていただこうと思います。

1. テーピング・ストレッチセミナー

 今回のセミナーはミャンマー柔道連盟が長年お世話になっている中島(なかじま)嘉和(よしかず)先生のご協力で実現されました。中島先生には、先日ご報告させていただいた東南アジア競技大会(通称 : SEA GAMES)をはじめ柔道世界選手権や多くの国際大会で、大会中のテーピングや身体のケアーをしていただいております。そのサポートを手掛けていますのがPTA様で、今回はその方々が遥々ミャンマーまでいらっしゃっていただきセミナーをしていただきました。

具体的なスケジュールは以下の通りで当日はミャンマー柔道連盟のミンテイン先生の通訳のご協力の元、進行されました。


カンボジアSEA GAMESにおいてCPTの先生が選手の診断をしている様子

2.セミナーの一部抜粋:肩の脱臼の処置と事後ケアー

 柔道は体と体が直接触れ合う「コンタクトスポーツ」であり格闘技という性質上、他の競技と比較すると非常にケガが多い競技です。特に膝や肘などの関節部分のケガや外からの圧力等による肩の脱臼が頻繁に発生します。

そのためテーピング法、包帯法、救急法など幅広い専門知識が必要不可欠であり我々現場の指導陣も最低限知っておかなければないことは自明であります。

今回はその一部始終を写真で共有させていただきますのでご覧ください。


膝のテーピング法の解説の様子

3.スペシャリストとゼネラリスト

人間というものは自分の専門の畑にのみに没頭しておったら駄目です。いつの間にか頭が機会的に因習的になって死んで来る。絶えず専門外に目を配って、それを絶えず自分の専門の問題の培養にすることが必要です。(安岡正篤,2015,p.61)

私の人生の中で、大変印象に残ってる著者の中の1人の安岡正篤氏の言葉を引用しました。

 選手は練習をして競技力を向上し、食事や休むことによりコンディションを整えることが役割です。柔道の練習であれば柔道の先生。食事であれば栄養士や料理人、コンディショニングやトレーニングであればトレーナ。そういったように競技力を向上するといってもその過程でそれぞれの専門領域、専門家が存在し、円滑に物事を進めていかなければどこかで齟齬が生じてしまいます。

現在、監督として組織を統括する立場にいる以上、柔道の競技にのみ特化したスペシャリストでは不十分であり専門領域を広げてゼネラリストを目指さなければいけません。


肩のテーピング法の解説の様子


 肩の脱臼の処置の解説の様子

専門家たちとコミュニケーションを取るときには、最低限の知識を蓄えていなければ話についていくこともできないですし、日々の現場での判断や采配にも支障をきたしてきます。

その中で専門外だという謙虚な気持ちを持ちながら対峙することはもちろんのこと少しでも自分自身を向上させるための学ぶ姿勢は、我々指導陣にとって大切なことではないでしょうか。

 今回のセミナーでは、特に日々の練習に直結する知識が大変多かったので大変参考になりました。

4.縁尋機妙(えんじんきみょう)、多逢聖因(たほうしょういん)

 良い縁がさらに良い縁を尋ねて発展していく様は言葉にすることができない妙な様を「縁尋機妙」と言い、良い人、良い場所、良い機会、良い書物に交わっていると、良い結果に恵まれることを「多逢聖因」と言います。

 私ごとですが、一年前はカナダのモントリオールで生活をし、さらに2,3年前はコロナ禍で柔道現役生活を続けるも上手くいかずに、もがいていた生活を省みると、今こうしてミャンマーで活動していることに大きな喜びと不思議さを感じます。

振り返ると沢山の方々、書物、場所に出会い、ご縁に恵まれて積み重ねてきたからこそ現在に至っていると強く感じますし、そのそれぞれの出会いは言葉にできない不思議なご縁だなともつくづく思います。

今回、中島先生がミャンマーにいらっしゃってテーピング・ストレッチセミナーを受講していることも大変不思議なことであり、この場に立ち会えることができて幸せです。

この場をお借りして先生方はじめご協力していただいた皆様に御礼を申し上げます。

おわりに

 改めて厳しいミャンマーの情勢の中でテーピング・ストレッチセミナーを開催し、無事終了することができたのは皆様のご協力のおかげだと存じます。

こういった少しずつの前進と積み重ねが大輪を咲かすことに必要不可欠なことなので、この記事をご覧になって、私たちの活動にご協力していただける方がいらっしゃればご一報下さい。

そして、4,364km離れたミャンマーの地でお会いましょう!!

お待ちしております。

最後に、まだ見ぬミャンマー柔道の更なる発展に期待を込めて、To Infinity and Beyond !!

参考文献

Webio辞書/緬甸/https://www.weblio.jp/content/2023/06/18

Website

1.SAKURA &PARk 株式会社プロックス公式ホームページ/https://www.sakura-park.co.jp

2.スポーツ傷害統計データ平成29年度版/https://www.sportsanzen.org/about_us/grjkkl0000000f3g-att/dchamu000000040t.pdf /公益財団法人スポーツ安全協会/令和4年3月31日

  1. International Judo Federation Official Website/https://www.ijf.org/2023/07/14
  2. CAMBODIA2023 32th SEA GAMES 12th ASEAN PARA GAMES official Website/https://cambodia2023.com/brand/2023/07/13

5.. 2023 Southeast Asian Games | Phnom Penh/https://olympics.com/en/sport-events/2023-southeast-asian-games-phnom-penh/2023/07/14

  1. Olympics Official Website Southeast Asian Games 2023 final medal table: Complete list/ https://olympics.com/en/news/southeast-asian-games-2023-medal-table-complete-list/2023/07/12
  2. Wikipedia SEA GAMES /https://en.wikipedia.org/wiki/SEA_Games/2023/07/14
  3. Wikipedia Judo at the 2023 SEA Games/ https://en.wikipedia.org/wiki/Judo_at_the_2023_SEA_Games#Mixed_combat/2023/07/14
  4. POSTE 東南アジア競技大会(SEA Games)とは?歴史とともに解説!/https://poste-vn.com/lifetips/sea-games-842/2023/07/12

Books

10.「師と友」巻頭言にみる 人間を磨く/安岡正篤/日清報道/1988年4月1日

11.活学としての東洋思想/安岡正篤/株式会社PHP研究所/2015年2月27日

平沼大和(ひらぬまやまと)

1997年北海道生まれ、2023年ミャンマー柔道連盟ナショナルチーム代表監督。中央大学商学部会計学科卒業、体育連盟柔道部所属。柔道実業団選手としてスポーツひのまるキッズ協会に所属の後、カナダ柔道連盟ナショナルチームアシスタントコーチを経て現職。


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