※コロナ禍明けから約5年ぶりに、シーカイ村道場から「YUJU DOJO」として新たに再スタート!
JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。
東南アジアのインドシナ半島に位置するラオス人民民主共和国でJICA青年海外協力隊として活動をしている菊地友輝さんからの報告です。
サバイディー柔道物語!No.9
JUDOsのホームページをご覧の皆さん、ສະບາຍດີ!(サバイディー、こんにちは!)
サバイディー柔道物語第9回です!
JICA海外協力隊としてラオスで柔道指導をしています、菊地友輝(キクチ トモキ)です。
赴任から早くも1年3ヵ月が経ちました。時間の流れの速さを実感する日々です。
最近は同僚や選手たちから、「もうすぐ日本に帰るの?」「いつ帰るの?」「また戻ってくるの?」といった声をかけられることが増えてきました。そんな言葉に嬉しさを感じる一方で、どこか寂しさも感じています。まるで、今の雨季の空のように、心もどこかしっとりとした季節です(笑)。
日本では豪雨による深刻な被害が出ているというニュースを目にします。ラオスの一部地域でも大雨による被害が報告されており、ネットニュースなどでその様子が伝えられていました。私が暮らす地域はメコン川の近くにあり、氾濫のリスクと隣り合わせです。ですが、こうした自然災害に直面するたびに、あらためて「人の命」の大切さを実感します。物は壊れても修復できますが、命は何にも代えられません。まずは自分ができる範囲で安全に過ごし、周りの人たちと助け合っていけたらと思います。
とはいえ、そんな気持ちにしんみりしてばかりもいられません。時間は限られているからこそ、1日1日を大切に、柔道の稽古にも全力で取り組んでいます。今月から10月のユースアジアゲーム(バーレーン)、12月の東南アジアスポーツ大会SEAGAMEs(タイ)に向けて国内選抜試合(第7回に載っているかと・・)で勝ち抜いた選手たちをラオスナショナルチームとして再結成させ、毎日の練習に励んでいます。
コロナ禍明けからシーカイ道場(新:YUJU DOJO)の再開・・
こちら(上)は、5月からシーカイ村のシーカイ中学校の道場を使用して開かれた「YUJU DOJO」で柔道指導(右:菊地本人)している写真になります。
コロナ禍の影響で長らく使われず、ごみなどが溜まり、畳も真っ黒に傷んでしまっていた道場を、ラオスのコーチや選手たちと力を合わせて清掃・整備し、ついに再開することができました!放置されていた道場が、皆の手によって少しずつ生まれ変わっていく様子はとても感慨深く、道場再開の日には何とも言えない達成感がありました。ラオスの首都・ビエンチャンにまたひとつ柔道の拠点が増えたことを、心から嬉しく思っています。
再開からわずか3ヵ月ほどですが、新しいメンバーも続々と加わっており、現在では5人の仲間が新たに加わりました。彼らの成長が楽しみであると同時に、色んな目標を持って柔道を楽しんで欲しいなと思います。週に3回稽古がありますが、私は週1回柔道指導をしています。柔道指導といっても初心者の子たちが多いこともあって身体を動かすゲーム、遊んでいることの方が多いですね(笑)。
余談ですが、10年以上前のJICA海外協力隊のシニア隊員の人から聞いた話ですが、シーカイ柔道場を作ったのには、ただ選手として強くなることだけが目的ではなく、もともとはシーカイ村の非行対策、青少年の健全育成が目的で建てられたとのこと!こういう裏事情?のことは先輩隊員に聞かないと分からないことも多々あって、まだまだ知ることがたくさんあるなーって実感しましたね。

JICA海外協力隊の同期が柔道体験・・・!?
嬉しいことに、ビザ更新の関係で、JICA海外協力隊の同期たちが私の活動拠点である首都に長期滞在することになりました。その中で「柔道を体験してみたい!」という声が上がり、ラオスの選手たちの協力も得ながら、一緒に柔道衣を着て練習をすることができました。柔道は学校の授業でしか経験がない同期たちです! 柔道を通じて、言葉や文化の壁を越えて交流できたこの時間は、本当に貴重なものでした。ラオスの選手たちにとっても、日本人とのふれあいや異なる視点に触れる良い刺激となったようで、練習後には自然と笑顔が広がっていました。こうした交流が、柔道の魅力や可能性をさらに広げてくれると信じています(笑)。また、素直に「柔道やってみたい!」って言ってくれて体験していただけることは嬉しくて本当に幸せな時間でした。ラオスの選手や関係者にも感謝ですね。

昇段贈呈式・・
昨年、講道館セミナーとあわせて昇段審査会も行いました。結果は…全員合格!ラオスでは初段から五段まで、合計15人が昇段することになりました。初めて黒帯を手にした選手たちは、本当に嬉しそうに帯を締めていて、こちらまで嬉しくなりましたね。
柔道には「形(かた)」というものがあって、私は昇段審査に向けて、投の形や柔の形を選手たちと一緒にずっと練習してきました。(選手の方が上手に⁉)合格の連絡をもらったときももちろん嬉しかったのですが、やっぱり実際にその場で選手に黒帯を渡す瞬間は、特別なものがありますね。努力が実った姿を見ると、こちらも胸が熱くなります。

終わりに・・
これからラオス柔道は、いよいよ国際大会ラッシュの時期に入っていきます。
まずは10月に「ラオスチャンピオンシップ」と「ユースアジアゲーム」、11月には「インターナショナルチャンピオンシップ」、そして12月には「東南アジアスポーツ(SEA Games)」と、大きな大会が立て続けに予定されています。正直、私の任期も残り1年を切っており、今年はまさに“勝負の年”だと感じています。
「この2年間で選手をめちゃくちゃ強くして、オリンピック選手にする!」なんて簡単にはいきませんし、勝負の世界はそんなに甘くないと分かっています。でも、自分が持っているすべての知識、そして心を、身体を通して選手たちに伝えていくこと、それが私にとって一番のやり方であり、今できる全力です。それが力になり結果に繋がっていくと思います。
そんな中、8月からは代表チームの強化合宿もスタートしました。
選手たちも少しずつ大会モードに切り替わってきていて、日々の練習にもより集中して取り組んでくれています。私自身もラオスのコーチ陣、そして代表チームの選手たちと力を合わせて、一つひとつの大会に向けてしっかり準備を進めていくつもりです。まだまだ課題は多いですが、チーム全体が同じ方向を向いて動いていることを実感しており、いい流れが少しずつでき始めていると感じます。そして、今回の合宿で得られた団結力や達成感を糧に、これからの国際大会でも“ラオス柔道らしい戦い”ができるよう、精進していきます!
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それではまた!
ພົບກັນໃໝ່(ポップカンマイ、また会いましょう!)
ໂຊກດີ(ソークでぃ、幸運を)
JUDOsでは海外で柔道指導をしている方々の活動記を紹介しています。興味のある方は事務局までご連絡ください。