ボツワナ🇧🇼より【柔道でつなぐ世界!No.4】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

アフリカ南部のボツワナで青年海外協力隊として活動をしている大島繁之さんからの活動報告です!


青年海外協力隊inボツワナ🇧🇼
柔道でつなぐ世界! No.4

私がボツワナ共和国に到着したのが昨年の2023年1月であり、早くも青年海外協力隊としての活動が1年経過してしまいました。あっという間に後半戦を迎えている2024年2月現在ですが、今回はこの1年間を振り返りながら今後の活動についても触れていけたらと思います。

日本がいかに恵まれているかを感じた日々

日本では普段、畳がないところで柔道を練習するということは経験しないのではないかと思います。私の所属先のNGOではスポンジ状のスポーツ用のマットを利用して柔道を練習しています。常設ではないので練習前にみんなで並べて敷かなければならず、練習後には片づけなければなりません。柔道衣は寄付で頂いたものを共有して利用しています。

練習時間についても安全面などを考慮して日が暮れる前に生徒は帰らなければならないので練習時間を確保することがなかなか難しい状況です。日本であれば、子供たちは自分の柔道衣を持参して常設の柔道場にて練習を行い、親御様の送り迎えなどで夜練習を行う柔道教室もあるのではないかと思います。しかしそれは、他国と比べて経済的にも豊かで安全な国だからこそできることなのだなと私は感じました。柔道の大会についても、大会参加費の予算が準備できないという理由で大会に参加できない場合があるということは想像したことがありませんでした。

そのようなことを考える私の一方で、ボツワナにいる私の生徒たちは週1回程度の短い時間ながらもみんなで毎回マットを運び、寄付の柔道衣を着て練習する柔道の授業をシンプルに楽しんでくれています。自分が経験した日本の環境と過度に比べることなく今のボツワナでできる柔道をしようと思い、色々と日々模索しているのが私の現在地です。

自分ができることを柔軟に考える

私はこの活動で「柔道の授業を通じて子供達の心身発達、社会性向上に貢献する」という目標を掲げています。この目標を達成するには限られた条件の中で柔道の授業をただ行うだけでなく、今まで生きてきた中での知識や経験、人脈などを駆使して色々と試してみることも重要だと私は思っています。

 

ボツワナではボツワナ柔道連盟が柔道の昇級、昇段試験制度を設けているのですが、認定証は交付していないということを聞きました。認定証があると生徒のモチベーションにもつながるのではないかと同僚にも相談した結果、新規に認定証のデザインを考えてみることにしました。

※5級(黄色帯)、4級(オレンジ帯)、3級(緑帯)までの昇級試験は、私と同僚のコーチが試験官としてNGO施設内にて昇級試験を開催して良いという許可をボツワナ柔道連盟から受けています。今回は同施設内で実施する昇級試験用の認定証を作成しました。

NGOとして生徒一人一人に帯を買ってあげることは予算上難しいのですが、試験の合格を認定証の交付でお祝いし、JICAの寄付プログラムにて頂いた色帯を練習時に貸出しています。希望すれば誰でも受験できるこの昇級試験に対する生徒の関心は高く、早く昇級したいという気持ちで生徒たちは色々な技の習得に日々取り組んでいます。彼らの柔道に対する向上心が将来、広く社会に対しても生かされることを願っています。


認定証の表


認定証の裏

ボツワナ柔道では各級ごとに定められた柔道の投技、寝技と共に日本語の柔道用語を覚えなければなりません。昇級試験の際にはその技が実際に使えるかどうか、用語を覚えているかをチェックしています。

残りの1年で何ができるか

初めて会うボツワナ人に対して自己紹介をする際、私は柔道指導者としてボランティア活動を行っていることを伝えています。しかしながら、ボツワナ人にとって柔道はまだまだ知名度が低く、空手や他の格闘技と混同してしまっているようです。そのようなこともあり、残りの時間の中で私は引き続きNGOで柔道指導に携わりつつ、ボツワナ全体に目を向けた柔道の普及活動も必要だと感じました。各地のイベントや学校などを訪問できる際に柔道を紹介していくことで、柔道への関心及び理解が深まるようこれからもボツワナにて活動していきたいと思っています。

先日、JICAボツワナ支所にて中間報告会があり、この1年間の活動について報告を行いました。慣れない英語での活動報告でしたが、他の協力隊員や支所のスタッフ、所属先の同僚に聞いていただきました。

今年の1月に日本へ一時帰国した際、以前に青年海外協力隊としてボツワナで柔道隊員として活動されていたOB隊員の方とお会いすることができました。当時の活動に関する話や今のボツワナの状況について情報共有をさせていただきました。

ご覧いただき、ありがとうございました。ボツワナでの日常生活をInstagram(@jica_shige)でも配信しておりますので良かったらそちらもご覧ください。


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