ボツワナ🇧🇼より【柔道でつなぐ世界!No.2】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

アフリカ南部のボツワナで青年海外協力隊として活動をしている大島繁之さんからの活動報告です!


柔道でつなぐ世界! No.2
青年海外協力隊 in ボツワナ🇧🇼

 日本から13000km以上離れたこのボツワナに来て早くも半年以上が経過いたしました。ボツワナは日本と季節が逆となっており10月現在、夏に向かう暑さが続いています。日中の気温は30度を超え、柔道の授業の際は水分補給をこまめに取り入れたり、途中で休憩を入れたりするなどの安全対策を心がけています。

 今回はこの遠く離れたボツワナのNGOにてなぜ柔道が取り入れられているのか?ということと、今まで青年海外協力隊がボツワナの柔道に関わってきた歴史についてお話させていただきたいと思います。

NGO施設で柔道を取り入れた理由

  前回も少しご説明させていただきましたが、私は青年海外協力隊の柔道指導者としてボツワナのNGO施設に所属しています。青年海外協力隊は受け入れ国側(今回でいうとNGO)が必要な人材(今回でいうと柔道指導者)を要請することで募集が行われます。

 今回の手続きに関わったNGOの職員になぜ柔道に興味を持ち、青年海外協力隊に指導者の要請をしたのか?を聞いてみたところ、子供たちが柔道を学ぶことで心身の発達や社会性の向上につながることを期待していることから要請を出したのだそうです。日本から遠く離れたボツワナでも柔道の価値が伝わり、良い評価をいただけていることを私は大変光栄に感じました。

 私自身もその期待に応えられるよう活動している日々ではありますが、実際この6か月間を振り返ってみても生徒たちの変化をいろいろと感じるところがありました。

 柔道にとって基本となる礼法は正しい手順を知らない子が多かったですが、座り方の順番や位置など少しずつポイントを押さえられるようになってきています。柔道への取り組み姿勢に関しても“自他共栄”を基本理念として伝え、練習の準備や後片付けなども含め互いに協力し合うこと、助け合うこと、教え合うことを生徒たちが主体的に考えるようになり、生徒全体のレベルが徐々に高まってきているのを感じています。


礼に始まり礼に終わるという言葉にもあるように、柔道の練習前と練習後には礼を行い、自他共栄の精神を伝えながら指導することを心がけています。礼法も徐々に上達しています。


私が来る前は練習マットの雑巾がけを行っていなかったそうなのですが、練習前には毎回雑巾がけをすることできれいな練習環境を整えるという習慣が身についてきました。


ウォーミングアップも以前は現地の若手指導者が中心に指揮をとっていたようですが、生徒たちの自主性を高めるため、生徒達だけで声を出し合って行うスタイルに変えました。

青年海外協力隊とボツワナ柔道

 2023年10月現在、ボツワナに派遣されている青年海外協力隊の柔道隊員は私だけなのですが、以前にも青年海外協力隊員がこのボツワナで柔道指導の活動を行ってきた歴史があります。

 約10年前、ボツワナ柔道連盟の所属としてナショナルチームなどに指導に尽力されていた井坪圭佑さんの話は青年海外協力隊の関係者だけではなく、ボツワナ連盟本部の方々からも非常に功績が高かったことを聞いています。非常に活動熱心な方でしたが、大変残念ながら不慮の事故によって協力隊の活動期間中に突然亡くなられてしまったそうです。

 その後、彼の教え子である生徒が2016年のリオデジャネイロ五輪にボツワナ代表として出場し、またボツワナ柔道連盟の道場が建設された際には道場名に亡くなられた井坪さんの名前が命名されるなど、彼がボツワナ柔道の歴史に大きく関わっていることは現地に来て非常に感じることができました。

 それから数年後には新たな青年海外協力隊の柔道隊員がボツワナ柔道連盟本部に派遣され、ボツワナ柔道発展に引き続き協力してきました。今回、私はボツワナ柔道連盟本部の所属ではなく、NGO施設の所属ではありますが、柔道普及や情報共有の観点からもボツワナ連盟本部の方々とも連絡を取りながら活動させていただいています。直接の所属や任務は先輩隊員と異なりますが、日本から来た青年海外協力隊の柔道指導者として私もできる限りボツワナ柔道発展に貢献できればと思っております。

 私の活動しているNGO施設で共に柔道指導を担当している2人の現地指導者もボツワナ柔道連盟本部にて青年海外協力隊の柔道隊員から柔道指導を受けた生徒だったそうです。かつては生徒だった人たちが徐々にこのボツワナ柔道を指導者として支える側にもなりつつあるボツワナ柔道の歴史を今まさに感じているところです。

 私も先輩隊員から受け取った柔道のバトンを次の隊員にしっかりとつなぎ、そして無事に日本へ帰国するという気持ちで引き続き今後も活動を頑張りたいと思っています。


ボツワナの首都ハボローネにあるボツワナ柔道連盟の柔道場の前にて撮影。ボツワナ国内にある唯一の柔道場になります。


ボツワナ柔道連盟の道場内にて撮影。井坪さんの大きな写真が道場内に掲示されています。練習生の皆さんはいつもこの写真の井坪さんに見守っていただきながら日々、練習をしています。

ご覧いただき、ありがとうございました。ボツワナでの日常生活をInstagram(@jica_shige)でも配信しておりますので良かったらそちらもご覧ください。


JUDOsからお送りした柔道衣がボツワナに到着したそうです。もうすぐ、大島さんの活動先に届けられるそうです!

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