ミャンマー🇲🇲より【めんでん 柔道記 No.1】

ミャンマー・ヤンゴンで柔道指導を行っている平沼大和さんより活動報告をいただきました。これから平沼さんの活動を定期的にご紹介いたします。「めんでん柔道記」よろしくお願いいたします!
JUDOsでは、平沼大和さんの活動を応援していきます。

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めんでん柔道記
〜4,364km離れたミャンマーの地で🇲🇲〜

作成日:2023/06/18
  作成者:平沼大和

めんでん:漢字表記でミャンマーのことを指す。旧ビルマ *1

自己紹介

皆さま。初めまして。現在ミャンマー柔道連盟柔道ナショナルチーム監督の平沼大和(ヒラヌマ ヤマト)と申します。この度、JUDOs様から機会をいただき、定期的に活動報告をさせていただくことになりましたので報告並びに経験したこと学んだことを共有させていただこうと思います。

なにぶん慣れないことなので不備等あると思いますが、どうか暖かい目で読んでいただければ幸いです。

まず、私の経歴を簡単に説明いたしますと、2020年に中央大学商学部会計学科(体育連盟柔道部所属)を卒業した後、「スポーツひのまるキッズ協会」様に所属させていただき実業団選手として約3年間活動させていただきました。(これに関しても今後お話させていただければ)

その後、2022年にカナダ柔道連盟ナショナルチームのアシスタントコーチとして活動し男子代表のMargelidon Arthur選手、女子代表Jessica Klimkait選手やパラリンピック代表のPriscilla Gagné 選手を始めとしたカナダ代表選手のサポート並びに「カナダ柔道の父」こと中村浩之先生が指導されている志道館でも指導させていただきました。

そして日本に帰国後。全日本柔道連盟に勤務されている井上康生先生、本郷光道先生のご紹介で現職に至ります。

ミャンマーについて

ミャンマーの基本的な情報として日本から約4,364km
(東京-大阪間が直線にして約400kmなので約10倍)
(“apan AB・日本の距離”, https://www.japanab.com/cc/JP-MM,2023/06/18)

東南アジアの一つの国でインドシナ半島の西の端に位置します。国土は約68万平方km(日本の約1.8倍)

(外務省Ministry of Foreign Affairs fo Japan,ミャンマー共和国 Republic of the Union of Myanmar 基礎データ,https://“www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/data.html#section1”,2023/06/18)


国民の約70%がビルマ族を締めていますが、中華人民共和国やインド、タイなどの隣国が多い影響もありカチン族やシャン族などの多くの民族の方が生活しています。

上記の通り部族が多く存在しているため公用語のミャンマー語の他にシャン語やカレン語など、部族それぞれの言語も話されており生まれながらにして2つの言語を話すことが当たり前の環境で、大和民族で単言語国家の日本と比較すると大きく異なります。

宗教は仏教が広く信仰されており約90%が仏教徒、その他キリスト教カトリックやイスラム教を信仰されている方もいらっしゃいます。

政治体制は大統領制と共和制を導入していますが、2018年に軍事クーデターが起こって以来、軍事政権が続いており世界各国やアジア諸国連合(ASEAN)各国ともにに風当たりが強いのが現状です。

ミャンマーの基本情報
国土:67万85000㎢
民族:ビルマ族(70%)その他多くの少数民族
人口:5,114万人(2019年推計(ミャンマー入国管理・人口省発
表))
言語:ビルマ語(公用語)その他多くの部族語
宗教:仏教(90%)、キリスト教、イスラム教
政治体制:大統領制、共和制

日本とミャンマーの関係

そんな軍事政権下のミャンマーですが、我が国日本とは古いお付き合いがある国の一つ。
先の大戦の大東亜戦争において連合国のイギリスと戦った歴史があり(インパール上陸作戦等)「私たちのおじいさん、おばあさんの時代から繋がりある日本」という言葉は会話の中でもよく出るフレーズ。

また昨今では国による学校設立、人道支援を含めたサポートや大手商社、通信会社等の日本の民間企業も
多く進出しており、日本とミャンマーの関係性は非常に近く友好的関係だと個人的には思います。

市街を歩いていても日本車のシェアー率が高く現地の方に尋ねたところ日本車は壊れにくい上に故障したとしても部品の性能が良く多く出回っているため好まれるそうです。
(IPSOS,ミャンマーにおける自動車作業, “https://www.ipsos.com/sites/default/files/ct/publication/documents/2018-09/automotive_in_myanmar-nov2013-japanese_version.pdf”,2023/06/18)

民間外交の一つとしての柔道

上記のように国や企業間の繋がりがある一方で、「柔道」は民間外交の一旦を担っているといっても過言でないと強く思います。
特にミャンマーにおいて、柔道はJICAの海外青年協力隊員や講道館からの派遣で定期的に
日本の先生方が指導されている背景もあり、日本への心理的距離感は近いです。

現在、一緒に活動しているコーチや選手の方々からも
「⚪︎⚪︎先生知ってますか? 体捌きについて教えてもらったんです!」
「⚪︎⚪︎先生は怖かった!」など様々な話題で盛り上がります。

また連盟の方や関係者の方から柔道家特有の礼儀正しさや心身の強さ(伝統的な日本柔道の技術も含む)も評価されている点もあり、「柔道」を通して日本とミャンマーを更に繋げることができるのではないかと模索しています。

もちろん様々な障害があったり、実現することは難しい昨今の現状は承知の上で、そういった文化的交流の可能性を大いに秘めている柔道を充分に活用し、目の前のできることを「いまから、ここから」やる。そういったことも自分に課せられた使命だと思って取り組んでいます。

今後の活動を行う上で〜武道は人間形成の手段〜

前述を通して、柔道の可能性と価値を再確認すると共に念頭に置かなければいけないことがあります。
それは「目的を把握すること」
「柔道は教育である」ということは、先人たちが残してきた教えであり、反論の余地はないと思います。

柔道において、スポーツ的側面はあくまで一側面であって柔道の究極目標は稽古を通しての人格形成。相手、時間、場所、技を限定してそれらを取り出して行い、「試合の勝敗」という一側面だけを評価・判断しているのが今のルール。そのルールも時局や時の為政者によって変化していく。

昨今の柔道界はそういった変化が早いということはルールの変遷を見れば自明であり、だからこそ指導者や選手はルールに捉われやすく、勝敗にこだわりすぎてしまうと筆者は考えます。

今後の活動を行う上で、そういった潮流を把握し物事を多面的に・長期的に・本質的に伝えることは、代表監督引いては日本柔道家としての責務であり、自分自身も常に反省しなければいけないことだと思います。

おわりに 

第1回ということで少し堅苦しい話になってしまいましたが、最後にこのような素敵な機会を提供していただいた井上康生先生、本郷光道先生初め柔道衣を提供してくださったJUDOsの皆様、ミャンマーに尽力していただいた先人の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

また、こういったことを通して何か参考になったり、今後の活動を応援していただける方がいらっしゃれば幸いです。

文才がないばかりに上手に伝えることができませんが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

次回は東南アジアのオリンピックSEA GAMEsについてお話させていただきますので、またお会いしましょう。

それでは。


参考文献

Website

1.apan AB・日本の距離”, https://www.japanab.com/cc/JP-MM,2023/06/18

2.外務省Ministry of Foreign Affairs fo Japan,ミャンマー共和国 Republic of the Union of Myanmar 基礎データ,   https://“www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/data.html#section1”,2023/06/18

3.(IPSOS,ミャンマーにおける自動車作業, “https://www.ipsos.com/sites/default/files/ct/publication/documents/2018-09/automotive_in_myanmar-nov2013-japanese_version.pdf”,2023/06/18)

YouTube

4.チャンネルくらら/内藤陽介の世界を読む 「ミャンマーのクーデターに関する雑感」渡瀬裕哉【チャンネルくらら】/https://youtu.be/dNAaskAoh2I/2021nenn / 2021年2月18日/2023/06/18閲覧

5.チャンネルくらら/ミャンマークーデターから1年 内藤陽介の世界を読む 渡瀬裕哉【チャンネルくらら】/https://youtu.be/dNAaskAoh2I/2021nenn / 2022年2月10日/2023/06/18閲覧

Book

6.単語でカンタン!旅行ミャンマー語会話/西澤卓美/有限会社 J リサーチ出版/2018年7月10日

7.新版CD BOOK はじめてのミャンマー語/チェリー・マーラー・トゥィン/明日香出版/2014年6月22日

8.物語 ビルマの歴史 王朝時代から現代まで/根本敬/中公新書/2014年1月24日

9.ミャンマー危機 選択を迫られる日本/永杉豊/扶桑社新書/2021年/7月2日

10.日本武道の理念と事理 日本古来の精神的且つ身体的文化の伝承としての武道/藤森明/東洋出版/2017年12月18日

*1 Webio辞書/緬甸/https://www.weblio.jp/content/2023/06/18


平沼大和(ひらぬまやまと)

1997年北海道生まれ、2023年ミャンマー柔道連盟ナショナルチーム代表監督。中央大学商学部会計学科卒業、体育連盟柔道部所属。柔道実業団選手としてスポーツひのまるキッズ協会に所属の後、カナダ柔道連盟ナショナルチームアシスタントコーチを経て現職。