エベレスト柔道レポート【その1】標高3790mのクムジュン村で柔道場が建設されます!

2022年5月29日に、エベレスト中腹にあるクムジュン村の学校で柔道場の建設が開始されました。エベレストの日にあわせて行われた落成式に、ネパールで活動を行っている古屋祐輔さんが参加してくださいました。2020年11月に、JUDOsからリサイクル柔道衣50枚、畳50枚をお送りしております。

古屋祐輔さんより、報告が届きましたので紹介いたします。


2022年5月29日に標高3790mのクムジュン村で柔道場の落成式典が開かれました

 

【エベレスト柔道を支援しているサブリナさんと古屋さん】

世界一高いエベレストの麓のクムジュン村。このクムジュン村はネパールでもかなり僻地にあります。この村まで行くには、文字通り“歩いて3日間”の時間がかかるのです。車で行ける道はなく、山道をひたすら登らないと辿り着くことができません。ですが、そんな場所でも「柔道をしたい」という子供たちがいて、神様を信じるように「柔道がこの村を良くする」と村の皆が信じているのです。

私もこのクムジュン村の柔道場の落成式典に参加するために3日間の山道を登りました。全身筋肉痛の疲れ果てた身体で、クムジュン村に辿り着くと、白い柔道衣を着たたくさんの子供たちが私たちの到着を待ち、歓迎してくれるのです。冴え冴えと光るヒマラヤ山脈を背景に、白い柔道衣が明るい未来を暗示したように眩しく見えるのです。

そんなクムジュン村の柔道場の落成式典という歴史的な1日。そしてエベレスト道場のこれまで、これからかの展望について、僭越ながらネパール在住で、今回エベレスト柔道場の建設に携わった古屋が書かせていただきます。

クムジュン村、エベレスト柔道落成式典当日

当日のセレモニーにはおよそ300名もの村の人たち、そしてエベレストの山々までもが柔道衣を着た80名ほどの子供たちを見守っておりました。5月下旬は雨期で曇ってしまう時期なのですが、きっと太陽もこの式典を見たかったのでしょうか。式典の時だけ晴れてくれ、子供たちに光を照らしてくれていました。

式典は11時から始まり、子供たちは覚えたばっかりの受け身や柔道の技を披露していました。そして子供たちの柔道をする姿に、村の人たちのサーカスでも見るかのような驚きまじりの歓声が起こります。それもそのはずです。村の人たちは「柔道」と言うものを初めて見るのです。

 村の人たちの歓声は、このエベレストに初めて届いた柔道を迎えてくれたようでした。子供たちの真剣な眼差し、正座し、規律よく待っている姿なんて中々ネパールでは見ることありません。この日ばかりはいつも人々の視線を一身に浴びるエベレストも、柔道衣を着た子供たちに主役の座を譲り渡したようでした。

子供たちの柔道の披露が終わると、エベレスト柔道のコーチのカジ先生が村の人たちの前に立ちました。

「私たちは柔道を通して、この村の子供たちの心を強くし、人に感謝し、尊敬し、人に思いやりを持って、共に発展していきたいです」

 カジ先生の力強い言葉に、村の人たちも頷き、そして私たちの後ろに聳え立つ山々までもその姿を感心しているような気がしました。

「柔道は勝つためにやっているのではない」とはカジ先生の口癖であり、エベレストのような大きな心を持つことがカジ先生の柔道を教えることの信念です。

【写真 柔道衣一番左:エベレスト柔道コーチ カジ先生 南アジア大会銀メダリスト】

当日の式典は柔道の技の披露や、護身術としての活用法の披露、そしてエベレストの村人たちからシェルパのダンスや子供たちのダンスなど3時間ほど及びました。

 この式典を見るためにわざわざ違う村から5時間かけて歩いてきた人もいました。それだけエベレストの人たちにとって「柔道」が大きな関心ごとになったのは間違いありません。

 柔道を始めたばかり子供に「今日は楽しかった?」と聞いたら「両親が見に来てくれたんだ」と、はにかんで答えてくれました。その子の中でも今日は、大切な1日になったことでしょう。

その2に続く