JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。
西アフリカでサハラ砂漠西南端の国、セネガルでJICA青年海外協力隊として活動を行っている三浦啓瑚さんからの活動報告です!
セネガルで指導者やってみた!! Part2
皆さん、Assalaa maalekum(アッサラームアライクム)‼ Nangenn def(ナンゲーンデフ)?
2024年度2次隊でセネガルに派遣されています三浦です‼
日本は寒さが過ぎ去り、春の陽気に包まれているころでしょうか。セネガルは乾季と雨季の2シーズンしかなく、極度に寒くなることはほとんどありません。どちらかと言えば、暑い時の方が多いです💦
今回は私が活動しているアカデミーの選手たちの様子などをお届けしようと思います‼
活動先の選手たちの様子
Part1でも書かせていただきましたが、私の活動先である「Lamine Gueye(ラミンゲイ)中学・高校」の選手たちは各地域から強化目的で招集され、寮で共同生活をしています。ここの選手たちは毎週月曜~土曜日で練習(土曜日はトレーニング)をしています。
私が初めて来た頃、日本人の柔道家が来たということに選手たちはとても喜びを見せつつも、緊張をしていましたが、すぐに彼らの輪の中に入れてくれ、練習後には私のことを囲むようになり、柔道のことや日本についての質問の嵐…
生徒との写真
現在、活動が開始して3か月が経過し、選手たちとの距離も縮まりました。
というのも、私は新卒(23歳)で協力隊として派遣され、最高でも選手たちと8~9歳ほどしか年齢差はありません。なので、アカデミーでは指導者・コーチというよりはお兄ちゃんのように接してくれています。最初は緊張していたはずの選手たちですが、私が23歳である事を教えた日から選手たちの態度は一変、練習中静かにさせるのが大変になりました(笑)
大変なこともありますが、毎日練習前後に一緒に歌ったり踊ったりと楽しい日々を過ごしています。指導者と選手という関係から生まれる上下関係・信頼関係も大切ですが、今の兄弟のような関係も悪くないなと感じてます。
多くの方が強化目的で招集された選手たちだから、ある程度しっかりしているのかな?と思うかもしれませんが、やっぱり中身はまだまだ中高生。練習中にふざけて話を聞かないことや、ウォーミングアップを中途半端に流したりすることは日常茶飯事…(私も中高生の時、そうだったなと反省💦)。今は、選手たちのモチベーションを保ちつつ、集中させるための声掛けを毎日考えています(もちろんフランス語で…)。
まだまだ子供っぽい一面が残る選手たちですが、ふとした瞬間にしっかりとした一面を見せることがあります。その瞬間の中から、今回は1つ書かせていただきます。
それはある日、2人の選手が「僕たちは心肺機能を高めたい、だから練習前に走って、乱取をする。大野将平選手や丸山城志郎選手たちはたくさん走ってるから、彼らみたいに走りたい」との要望がありました。そこから、参加するか否かは選手たちに任せ、毎週水曜の練習前に“ランニングトレーニング(学校の周り・海岸・階段)”を行うこととなりました。
まず自主的に練習前に走ること・なぜ走るのかを自分たちの言葉で伝えてくれたことでも素晴らしいことです。しかし、この記事を書いているのは「ラマダン」というイスラム教の宗教文化が行われている期間(2025/2/28~2025/3/29予定)なのですが、選手たちはそんな期間中でも練習前にトレーニングを続けています。理由を聞いてみると、「ラマダンが終わったらすぐに試合がある。だから僕たちは疲れていても練習しなければいけないんだよ」と。それに対して、私は「Je comprends(わかるよ)」としか言ってあげられませんでした。
このように、選手たちは1つ1つの試合を大切にしていて、いくら断食中であっても、「自分たちのやらなければならないことはやる」という気持ちがとても強いです。断食中のため、疲労による怪我のリスクが増加することは私も理解しているはずなのですが、選手たちの強い意志を見ていると、危ないと思っていても止めることができない時があります。こんな時に正しいアプローチで、選手たちに適切な声掛けをしてあげられるような指導者になれるよう日々精進していきたいと思います。良い声掛けの方法なども教えていただけると嬉しいです。
ランニングトレーニングの様子
主な活動~栄養新聞~
私が活動先の選手たちのために何をしてあげられるか考えて、現在行っていることが2つあります。それは「栄養新聞」と「体力測定」です。この2つはどちらも1か月に1回行っています。
今回は「栄養新聞」について書かせていただきます。
私たちが生きていくために、「食べること」は必要不可欠です。食べるものによって健康状態などが左右されることは数多くの研究によって明らかになってきています。
私は大学生の頃、母親に勧められユーキャンで「スポーツ栄養プランナー」の資格を取得するために栄養について勉強していました。セネガルでは伝統料理の多くには油、飲物には砂糖を大量に使用しています。そのため街中を歩いていると糖尿病の影響で足を切断している人を見かけることがあります。たくさんの人を救うことはできないかもしれませんが、私が指導している選手たちだけでも柔道を引退した後の健康を守ってあげることができればと思い、栄養についての新聞を書くことにしました。
セネガルの伝統料理「チェブジェン」
栄養新聞【2月】
食べる物に気を配るだけで、減量や増量が楽になることは私の身体で実験済みです。
大学生の頃、私は2週間毎日白米を7合食べて10kg以上増量、食べる物による体重の減り幅を見ながら、食べ物を変えていくことで2ヶ月かけて15kgほど減量していました。こんな感じで…
選手たちの中では、きつい減量を行っている選手もいます。この自分自身を実験材料にしてきた経験をもとにして書いた新聞を利用して、減量の少しの助けになればいいなと思います。
栄養新聞を書く際に気を付けていること、それは「文化そのものは変えられない」ということです。
伝統文化として根付いた料理・食べ物を変えることはできません。なので、栄養新聞を書く際は「どの食べ物なら加えることができるか・置き換えることができるか」ということを意識して書いています。情報を正しく伝えることができるように、私自身も自炊をしっかりして、セネガルで手に入る食材で選手たちの栄養にどのようにアプローチできるか日々模索中です。
タコのマリネ
モリンガを使用した米粉ケーキ
「パスタ+重曹」で中華そばを作ることもあります…
セネガル(ダカール)の街中…
今回の最後に、私の住んでいるダカールの街中を紹介できればと思います。
派遣先であるセネガルは想像していた以上に発展し、私の住んでいるところはダカールの中でも一番の都市部で、ほとんど日本と変わらない暮らしをさせていただいています。そんな中でも、違う国なので「スゴイ!!」や「ナンダコレ??」と感じるところがたくさんあります。今回はセネガルで興味深いなと感じたところを紹介できればなと思います。
まずは馬の標識です!!
セネガルでは車やバイクがたくさん走っている道路でも馬車?を見かけることができます。馬車が街中を走るため、このような標識があるのでしょう(笑)
セネガルでは歩道と車道の区別が全くないため、旅行などでセネガルを歩く際は車などの接触には気を付けてください。
2つ目は路上のお店です!!
このようにセネガルで路上を歩いていると、至る所にお店があります。
サンドイッチのような軽食だけでなく、セネガル伝統料理を安価で食べることができます。
食べ物だけでなく、手工芸品を販売しているところも…
手工芸品などの店では、最初にかなり高い値段で販売しようとしてくるので、うまいこと値切り交渉をしていくと安く買えたりすることがあります!!※自分の納得できる値段で買うことができるのが一番です👍
そして最後に、魚などを買うことのできる市場!!
この写真はJICAセネガル事務所の近くにある市場の周りの様子です。近くにモスク(礼拝所)があり、市場は海に面したところにあります。他の場所にも市場が存在し、海鮮ものだけでなく野菜なども手軽な値段で購入できる所もあります。
タコ【1㎏:8,000fcfa(約2,000円)】
イカ【1㎏:5,000fcfa(約1,250円)】
最後に
今回は、活動場所の様子や「栄養新聞」について書かせていただきました。セネガルに来る前には、「うまくいくのかな?」と不安ばかりでしたが、どの国であっても柔道をしている選手たちの考えることは同じで「強くなりたい、勝ちたい」という気持ちが強いです。そのため、不安というものはすぐに消え去り、今では選手たちがどれだけ成長していくのかという楽しみしかありません。選手たちの成長を促すためにも、私はもっと言語を学ぶことを頑張っていきたいと思います!!
上記で書いた場所以外にも、セネガルには面白い場所がたくさんあります。首都であるダカールでは日用品などはなんでも手に入れることができ、食事処も充実しています。是非、この記事を読み、興味を持ってもらえたら一度セネガルに来てみてください!!
次回は「体力測定」や練習・トレーニングなどを見て、感じた「セネガル人(柔道家)の身体的特性」の話を自分の観点で書いていきたいと思います!!
それでは皆さん Jërëjëf(ジェルジュフ)!!
Ba beneen yoon(バベネヨーン)!! ※「また今度」
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