ラオス🇱🇦より【サバイディー柔道物語!No.10】

※10月10~12日間に分けてラオス柔道チャンピオンシップが開催!「先生!写真撮りましょう!」とラオスの選手たちと一緒に

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

東南アジアのインドシナ半島に位置するラオス人民民主共和国🇱🇦でJICA青年海外協力隊として活動をしている菊地友輝さんからの報告です。


サバイディー柔道物語!🇱🇦No.10

JUDOsのホームページをご覧の皆さん、ສະບາຍດີ!(サバイディー、こんにちは!)

サバイディー柔道物語第10号です!JICA海外協力隊としてラオスで柔道指導をしています、菊地友輝(キクチ トモキ)です。

 

最近の生活・柔道のこと・・

最近、同僚や選手、さらには近所の人たちからも「先生、ラオス人でしょ?」なんて冗談まじりに言われます。買い物に行っても、現地の人とすっかり馴染んでいるようで、外国人扱いされることもありません。会話の途中で「えっ、日本人なの!?」と驚かれることもしばしば(笑)。

そんなふうに“ラオスに染まった”菊地は、気づけばラオスに赴任して1年5カ月が経ちました。時間が経つのは本当に早いものです。

10月末にバーレーンで開催されたアジアユースゲームを終え、これからの大会予定は、12月にタイで行われる東南アジア競技大会(SEA Games)です。現在、準備の真っ最中。8月から各階級で選抜された選手によるラオス柔道ナショナルチームを結成し、強化合宿をスタートさせました。選手たちは毎日、朝・昼・夕と柔道の稽古に加え、ランニングやウエイトトレーニングにも励みながら、本番に向けて着実に力をつけています。

柔道指導では、同じ練習メニューばかりだと飽きが来るので、たまにボールを使ったトレーニング(サッカー、バレー、バスケットボール)や水泳など、変化をつけたメニューを取り入れるようにしています。なぜなら、選手たちの意外な一面が見えてくると思ったからです。え、菊地がしたかっただけじゃないの?!ってそれは置いといて(笑)。球技が苦手な子、泳げない子、サッカーは得意だけどバスケは苦手な子など、運動の特性や動きの癖に個性が現れてきます。

そういう姿を見て、「この子にはこういう力があるから、柔道ではここを伸ばそう」とか、「これは苦手だから、教え方を工夫しよう」など、一人ひとりに合った指導ができるのではないかなと思います。楽しむときは楽しむのもありですけどね!気づけば柔道に結びつけてしまう自分は、もはや“柔道バカ”ですが(笑)適材適所という言葉があるように、選手の個性を見極め、それぞれに合った育て方を考えるのは、まさにその発想だと感じています。

最近、大会が近くなってきたせいなのか、OBやOG、普段見ないというか見たことないコーチ?も柔道衣を着て選手たちを見てくれています!やはり、人数が多いと活気があっていいですね。代表選手たちも嬉しそうです!この後も4~5名来られました!すごい!


今回のラオス柔道連盟の役員、審判、選手関係者たちの集合写真の様子、柔道大会を開催するにあたって裏方の仕事があっての大会ですね!

毎年恒例行事!ラオス柔道チャンピオンシップ開催!!

ラオス柔道チャンピオンシップはラオス全国大会となっていますが、海外からもオープン参加が可能で、タイのクラブチームからARMYや警察官が参加!

 毎年恒例のラオス全国柔道大会ですが、今年は特別なプログラムが加わりました!というのも、ラオスと日本の外交関係樹立70周年を記念して、在ラオス日本大使へのトロフィー贈呈が実施される他、南部のサワンナケート県の柔道連盟へ柔道衣を贈るセレモニーも実施しました!

 柔道衣贈呈のきっかけですが、昨年11月、私がサワンナケート県へ柔道指導に行ったことです(詳細は活動日記第5弾参照ください!)。サワンナケート県は、首都とは少し違った空気があって、自然や壁に絵が描いてあって何か懐かしいレトロな雰囲気がありもあり、一瞬で好きな街になりました。コーヒーもうまい!(ここ大事!)。ただ、正直に言うと、柔道場の外観を見たとき「おー、これは環境的にけっこう厳しいな…。」というのが率直な印象でした。それも、外壁が剥がれて穴があいていたり、窓のガラスが割れていたり。道場内も、天井が吹き抜けていたり、畳が摩耗して隙間があったりボコボコしたり。首都とは全然違うんだなーと実感しました。

 子どもたちや選手の皆さんが楽しそうに柔道に取り組んでいる姿にはとても感心いたしました。しかし、練習中に目にしたのは、柔道衣を着ていない選手が多く、近所から遊びに来た子どもたちも交じって、服を引っ張ったり掴んだりして、服がびよんびよんに伸びた状態で練習している場面でした。練習に励む子どもたちの姿を見ていると「何か手伝えることはないだろうか」と感じるようになり、練習後の食事の場を借りて、サワンナケート柔道連盟の監督や柔道関係者、選手たちと会話を交わす中で、「不都合なことはないか?」と尋ねたところ、監督から「柔道衣が足りない。購入するにも費用がかかり、金銭的に厳しい状況だ」との声がありました。この話を受け、首都に戻った後、日頃から活動日記でもお世話になっているNPO法人JUDOs様と、NPO法人グッドライフ様(「セカンドライフ」の運営主体)に相談を持ちかけ、柔道衣の支援が可能かどうかを打診したところ、両法人とも快く協力してくださり、支援が実現する運びとなりました。このときのことは今でも感謝しきれない思いでいっぱいです。

 こうして、柔道衣の支援がスムーズに進み、柔道衣39着というたくさんの柔道衣をラオス柔道チャンピオンシップの柔道衣贈呈式という形で、直接、サワンナケート柔道連盟の子どもたちに柔道衣を贈呈することができました!

 現地の子どもたちが安心して楽しく柔道の練習に取り組める環境を作るために、今回の支援を通じて、物資不足という課題に貢献できたこと、柔道を通じた国際的なつながりと支援の可能性を改めて実感することができました。

サワンナケート柔道連盟の監督や選手にラオス語と日本語で「ありがとう」と何度も言われたことは一生忘れない思い出となると実感しています。これからある大会が落ち着いたら必ずまたサワンナケートに行って選手たちと柔道をしたいと思います!

また、嬉しい報告が!?競技の最後には団体戦もあり、私が活動している首都ビエンチャンチームがなんと優勝!代表戦がありつつも、厳しい戦いを制したことは彼らの自信にもなりますし経験に繋がると思います。前回は惜しくも3位という結果でしたので、所属チームのコーチも審判の控え待ちをしている間も声を出して応援!?なんてこともあり(笑)。勝ったときは嬉しそうでした。私もいつも練習で馴染みのある選手たちでしたので口を出さず見守っていましたが、本当は心の中で冷や冷やしていました(笑)。これからも一緒に頑張ろう!写真ありがとう。

JICA海外協力隊ラオス派遣60周年記念式典・・

高級ホテルで式典⁉大きなスクリーンでスポーツ柔道部門として放映されました!映像が映った瞬間、演武会を控えた選手たちが「センセイ、センセイ」とニヤニヤといじってくる

ラオスにJICA海外協力隊が初めて派遣されたのは1965年!?なんと、ラオスは協力隊の“最初の派遣先”のひとつなんです!それから60年、今では1110人以上の隊員がラオスで活動してきました。活動内容はほんとに幅広くて、農業や教育、医療、スポーツ(柔道もね!)、障害者支援など、地域の人たちと一緒に汗をかきながら、いろんな分野で協力してきました。2025年はその60周年ということで、ラオスでも記念イベントが開かれたり、これまでの活動を振り返る機会が増えています。ラオス政府もJICA海外協力隊をとても大切にしてくれていて、毎年首相に表敬訪問するほどの関係なんです。それが、今回の節目として、記念式典をしました。そこでは、柔道のデモンストレーション(演舞)も紹介させていただき、私も含め選手や柔道関係者にとてもよい経験をさせていただきました!駐ラオス日本国大使を始めとするラオスの各大臣、その他役職を聞いたら驚くような人たちがたくさんいる中での演舞!それはそれは緊張したでしょう(笑)。メディア取材班もたくさんいたし・・。

こちらはリハーサル時の柔の形、第一教の一部です。見ている人たちから「柔道は投げるだけじゃないんだね!」「静寂の中に迫力があった。」と柔道の魅力について少しでも伝えられたかなと思います

 デモンストレーションは、柔道部門とJOCV(JICA海外協力隊)のよさこい踊りが行われました。演武に関しては、時間が限られる中で私が伝えたやり方について選手たちはしっかりと聞いて実演してくれました。最初に、投の形(浮き技)、柔の形(第一教)、乱取(ランドリ)、菊地のテクニック(打込と投技)という流れでした。最後の菊地テクニックについての公表は「菊地、最後に良いとこ持っていきすぎじゃない?」との声もありましたが、そりゃあ見せないと!と開き直りました(笑)。

菊地のぼやきコーナー・・

 自分の置かれている現状やラオス柔道が今置かれている事情に色々考えることがありました。任地に赴任した当初は1日1日を振り返る時間を設けること。言葉が伝わらない、変なことを言われているんじゃないかな?これで合っているかな、大丈夫かな?と気にしてしまう自分も確かにいました。また、それを考えて整理して、修正して、答えを見出すというような必要性があるんだというような考え方が難しくて、人と話すのもおっくうというか、アレルギーのような(笑)?この場にいたくないなー。みたいな。

 しかし、この「柔道」という‘’コンテンツ‘’……という言葉を使ったら怒られそうですが……体を使って指導すること、柔道をしながらコミュニケーションを取れること、選手たちがどんどん柔道のテクニックやルールについて質問してきてくれること。生活の中に柔道があるんじゃなくて、柔道の中に生活があると考えるととても楽で、逃げ場が柔道場だっていいんじゃないかなと思ったことで気持ちがとても楽に思えた時期がありました。私にとって「柔道」とは、最高の教育コンテンツであって自分の嫌なことも糧にしてくれるような場所ですね。私は、小学校4年生から初めていますが柔道を嫌いになったことは一度もありません。向いていないのかなと思ったことは、あります(笑)。

終わりに・・

 ラオス柔道チャンピオンシップが終わり、これからバーレーンでアジアユースゲームいう大会があり、監督兼コーチとして選手の引率をします。バーレーンは中東のサウジアラビアとカタールの丁度真ん中にある国で、ここまで遠方の引率は初めてで、正直、無事に柔道会場に着き、何事もトラブルなく選手たちをラオスに帰国させることが最大の任務だと思います(笑)。今まで練習してきた自分の力を最大限出してほしいと思います。

 

●各種リンク先:

JICAラオス インスタグラム

→現役ラオス隊員の各分野が見られる!?

JICAラオス Facebook

→今回のJICA海外協力隊ラオス隊員派遣60周年記念について詳しく載っています!

JICA海外協力隊の世界日記

→各国の現影現役協力隊隊員やラオス柔道の現状について記載しています!

それではまた!

ພົບກັນໃໝ່(ポップカンマイ、また会いましょう!)

ໂຊກດີ(ソークディ、幸運を)

 


JUDOsでは海外で柔道指導をしている方々の活動記を紹介しています。興味のある方は事務局までご連絡ください。