JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。
中央アメリカの中央に位置するエルサルバドルでJICA青年海外協力隊として活動をしている深井龍河さんからの活動報告です!深井さんは、今月で協力隊の2年間の任期を終え帰国します。お疲れさまでした!サルバドール日記最終回です。
みなさんこんにちは。
さて、だいぶ月日が経ってしまいましたが今回は前回予告した「ジュニア育成プロジェクト」についてお伝えしていきます。
エルサルバドル柔道は現在、シニアグループとジュニアグループに分かれて稽古を行っています。中米カリブオリンピックまでは一緒に練習していたのですが、去年7月頃からジュニアの専属コーチとして任命を受け、別々に練習することになりました。
取り組みの目的と内容
ジュニア育成プロジェクトを実施していくにあたり、中米カリブオリンピック後、幹部の方々より次世代も活躍することを目的に日本柔道を基盤とした指導をしてほしいという言葉をいただきました。日本人柔道家として日本柔道が大変高く評価されていると感じ、とても喜ばしい気持ちになると同時にプレッシャーも感じました。プロジェクト推進に向けて一番大事にしたことは「チームづくり」です。ジュニアの子どもたちの間で助け合う仲間でありながらもお互い戦うライバルである環境を作ることを目標としました。具体的な取り組み内容としては、いろいろな側面からこれまでの分析を踏まえ、まずは寝技の強化を中心とした技術の習得及び実践、他者へ説明することのアウトプットによる定着率を上げる一連のシステムで行いました。理由は、寝技が全くと言っていいほど実戦で見られなかったこと、柔術と混乱していることでした。そのため、寝技を実戦で使っても絞技や関節技だけで、返し技や抑え込み技などを全然行なっていなかった状態でした。約半年に渡る寝技の訓練の結果、寝技で勝つ選手も出てきてその生徒から「今まで寝技をほとんど学んだことがないから全然興味なかったけど最近寝技がおもしろいよ」って言ってもらえて指導者としては選手自身でそのような気づきを得てくれて成長を感じました。
ホンジュラスでの大会
一年弱にわたるプロジェクトと国内大会を経て、6月初めにエルサルバドルのお隣の国ホンジュラスで開催されたトーナメントに参加してきました。ニカラグアからも参加しており、普段人数が少ない中で練習、試合をする彼らにとって有意義な機会を得ることができました。結果は、ほとんどが入賞、普段一緒に練習してる選手たちは優勝準優勝と並ぶ成果も見せ、彼らの自信になり今後の大会での益々の活躍が期待されます。
社会的な活動
練習や試合だけでなく、柔道を通じたイベントへの参加もしてきました。多くは学校や地域での柔道デモンストレーションなどが多く、他にも障がいを持つ生徒たちへのイベントなどにも参加し、柔道の普及活動にも取り組んでいます。彼らにとっても、普段の練習の息抜きにちょうどいいようで積極的に参加してくれます。柔道を学ぶ者として、生徒たちがこのような機会を大切にしたい気持ちを理解してくれているのは嬉しいですし、今後も積極的に社会貢献活動をしてほしいと思います。
終わりに
この度、私事ですが2024年7月25日にJICA海外協力隊としての活動契約期間が満了となり、2年間の活動を終えて日本へ帰国いたします。派遣から1年以上経ってからJUDOS様に情報発信事業という機会をいただき、少ない機会ではありましたが、エルサルバドル柔道隊員としてサルバドール日記を通じて現地の柔道について発信することができました。ご覧になった方々そして改めて私を暖かく迎えてくれたエルサルバドル柔道の方々に、心より御礼申し上げます。
また、エルサルバドルからパリオリンピック60kg級の選手が大陸枠を獲得しました!是非とも応援していただけると嬉しいです!
JUDOsでは海外で柔道指導をしている方々の活動記を紹介しています。興味のある方は事務局までご連絡ください。