ブータン🇧🇹より【カディンチェ柔道日記!No.18】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

南アジアのブータン王国🇧🇹でJICA青年海外協力隊として活動をしている福井勇貴さんからの活動報告です!


カディンチェ柔道日記🇧🇹🥋

※Kadrin Chhe la(現地語 ゾンカ)ありがとう
ブータン柔道はこれまで多くの方々のご協力、支援があってここまで来ました。
そんな感謝の気持ちからタイトルコールはカディンチェとさせていただきました。

皆様、お世話になっております。

JICA海外協力隊としてブータンナショナルコーチをしています。福井 勇貴(ふくい ゆうき)です。

ブータンでは、9月23日にBlessed raining dayという祝日があります。その祝日は、4月ごろから9月までの雨季の期間の終わりを示す祝日です。この祝日は、宗教的な意味も含めての祝日だそうです。

この日を境にびっくりするくらい前日まで降っていた大雨はぴたりと止まります。しかし、今年はこの祝日後も大雨が続いていました。これも温暖化の影響でしょうか?でも面白いですよね。

世界各国では、宗教が日々の生活が宗教と密接している国も多いんですよね。

さて今回のテーマは前回の最後にお伝えしたように、9月21日にタイで開催されましたThailand International Judo Tournament 2024に私たちブータン柔道チームが出場しました。

Bhutan Teamタイへ向けて出発

私たちは、9月22日から開催されましたThailand International Judo Tournament 2024に出場すべく、私たちは19日ブータンからタイへ向けて出発しました。

このThailand International Judo Tournamentにブータンチームが出場するのが今年で2回目となります。ちょうど一年前のこのタイの大会ごろから私の活動報告を載せさせていただいているので、ご存じの方がいらっしゃるかと思います。

また、Thailand International Judo Tournament 2023の詳しい内容については私の活動報告のNo.3をご覧ください。(以下にURLを載せさせていただきます。)

https://judos.jp/bhutan3/

今回も私たちはブータン(パロ)―タイ(スワンナプーム空港)おおよそ4.5時間のフライトでタイまで向かいました。ここで少し余談ですが、ブータンから出ている航空会社は実は2社しかありません。Druk Air(Royal Bhutan Airline)という政府が運営している航空会社とTashi Airline(Bhutan Airline)というプライベート会社の2つです。

そして、私たちが大会等で海外に行く際にいつも使用していて、ブータンオリンピック委員会のスポンサーのTashi Airline(Bhutan Airline)ですが、タイまでのフライトでインドのコルカタという所に経由をするんです。そして、その経由したコルカタでは、タイまで行く乗客は飛行機の中で待機します。そして、私が1番驚いたのが、そのコルカタで1度ストップをした際に、コルカタの空港スタッフが飛行機の中にきて、機内清掃をするんです。

初めて経験をした際には、一瞬何が起きたかわからなかったです。

Tashi Airlineではタイ行きはコルカタに中継してタイに向かいますが、Druk Air(Royal Bhutan Airline)ではタイ行きは中継がなく直行便なのです。もし、ブータンにお越しになることがあれば、ぜひどちらも経験してみてください。

話は今回の大会に戻って、今回もコルカタでの機内清掃を経験して、無事に16時過ぎにタイに到着し、空港で大会運営と合流して大会運営が用意するタクシーで大会会場のあるチョンブリーへ向かいました。バンコクからチョンブリーは車で約1時間半程度でした。

ホテルに到着後は、チェックインをして、各自夕食をとり休養を取りました。

Day 2 of Thailand

タイ二日目の20日は、朝食をホテルで全員でとり、その後12時から大会会場のアップ場で調整練習を行う予定だったので、運営側で用意してくれた車で練習会場まで向かうはずでしたが、運営側の車の台数に限りがあって乗れなということがあり、自分たちでタクシーを用意して練習会場へ向かい、最終調整と減量トレーニングを行いました。

約1時間程度の調整トレーニングを行いました。35度の気温とタイの湿気の暑さで選手たちは軽いランニングで汗だくになっていました。

調整練習が終わり、13:30頃運営側が用意するバスでホテルへ戻り私は翌日から開始する大会のテクニカルミーティングがあったので、すぐにスーツに着替えてクニカルミーティングの会場へ向かい大会での注意事項や連絡事項、抽選を聞いていました。

約1時間のテクニカルミーティングを終え、私は部屋へ戻り着替えをして、ホテルから出て近くのカフェで翌日から始まる大会への準備や事務作業を行なっていました。

その時選手たちは翌日の夕方に行われる計量に向け最終調整として、ホテルに併設されているサウナに入って汗を流して、プールでクールダウンをしていました。

その後各自ホテルで夕食をとり、休養をしました。


調整練習後に汗だくでクーラーの前でストレッチをしている様子

テクニカルミーティングの様子


Day3 of Thailand

タイ3日目のこの日は大会初日でしたが、この日は、形とカデの大会内容だったので、私たちは試合がなかったで、前日同様ホテルで全員で朝食をとり、11時から大会会場で調整練習があったので、10:30にホテルから会場へバスで向かい11時から調整練習を開始しました。約1時間の調整練習を行い、その後各自減量がある選手は、ランニングを行い、着替えて、会場の計量が行われる体重計で最終の体重確認を行い、計量が行われるまで大会会場で約4時間休養と計量の準備を行いました。

私は、この計量が行われるまでの時間会場でカデの試合を観戦していた際に、元ラオスでナショナルチームの監督をされていて、現在タイで柔道クラブを持っていて、指導をされている今先生とお会いしました。今先生とは、昨年のこの大会で初めてお会いして、当時ラオスで指導をされていて、日本人同士で海外で指導しているということで色々情報交換をさせていただきました。その後私たちがアジア大会に出場した際にも、ラオス代表監督として出場されていて、お会いすることができ、その後も数回国際大会で会うことができました。久しぶりに今先生と会い、近況報告をすることができました。

その後今先生のご紹介で、同じくJUDOsで活動報告をされていて、ミャンマーナショナルチームの監督をされている平沼先生ともお会いすることができました。そして、今大会のミャンマーチーム・大会公式メディカルとして日本からこられていた、トレーナーの中島先生やその他先生方ともお会いすることができました。

その後、選手たちの公式計量が終わり、会場で夕食が出されるので、夕食をとり、ホテルへ向かいました。その後各自翌日の大会へ向けて休養の時間にしました。

この日、私は今先生から日本人の先生方やサポートで来ている方々と食事はどうですか?と誘っていただいたので、参加させていただきました。

ホテルのレストランスペースで皆さんとテーブルを囲んで、各国の柔道事情や指導方法等の情報交換をさせていただきました。私にとってとても勉強になる時間になりましたし、素敵な時間を過ごすことができました。このように世界各国で指導されている日本人の先生方と今後も交流を持たせていただけたらいいなと思います。


大会会場の様子

Tournament of Thailand

この日は、私たちの大会当日ということで、私たちは6時から全員でホテルで朝食をとり6:45のバスで会場まで移動し、到着後はウォーミングアップの準備、ウォーミングアップを行いました。

この大会では、私たちブータン柔道協会から4人のナショナル選手が出場しました

-55kg級 Kinga Norbu
-60kg級  Yeshay Nidup
-66kg級 Kinley Tshering
-73kg級 Tandin Wangchuk

-55kg級に出場したKinga Norbuは1回戦カンボジアの選手と試合をし、合わせ技で一本負けをしました。その後敗者復活戦のチャンスがありましたが、敗者復活戦は、スリランカの選手と試合をして、善戦をしましたが、ゴールデンスコアで技ありを取られて敗戦しました。

-60kg級に出場したYeshay Nidupは1回戦スリランカの選手と試合をし合わせ技一本で敗戦しました。

-66kg級に出場したKinley Tsheringは1回戦タイの選手と試合をし、同じく合わせ技一本で敗戦しました。その後Kinley Tseringも敗者復活戦のチャンスがありました。

敗者復活戦は、ミャンマーの選手との試合をしましたが、同じく合わせ技一本で敗戦しました。

-73kg級の出場したTandin Wangchukは1回戦韓国の選手と試合をしてほぼ互角の戦いをしていましたが、本戦残り20秒の時に相手を足技で崩して次の技に入る時に相手の肩車で一本を取られて敗戦しました。

前回の活動報告でもお話しさせていただきましたが、台湾の大会後から私たちはこの大会で結果を残すようにチーム一丸となって日々稽古、トレーニングに励んできました。

そして、私も常々選手たちには、この大会ではどうしても結果が全員で残したいということを伝えてきました。そして、選手たちもそれに応えるように、同じ気持ちで絶対に結果を残したいと思い日々のきつい稽古やトレーニングを行ってきました。

しかし、残念ながら今回も結果を残すことができませんでした。

この敗戦は、全員が一生懸命日々努力をして、同じ気持ちで試合に臨み、全員が善戦をしたからこそ選手も私もとても悔しく思います。正直、チームが勝てないのは、私にも責任があると思います。次の大会で1戦でも多く戦うことができ、全員が大会を笑顔で終われるようにこの大会での負けを今後に活かしていきたいと思います。

大会後早速私は、ブータンに戻りこのタイの大会に出場したチームメンバーは1週間のオフがあったので、この大会で見つけ出した私たちブータン柔道協会・ナショナルメンバーが抱える課題点や改善しなきゃいけい点を運営サイド・テクニカサイドの2つの点を約20枚のスライドにまとめたパワーポイントを作成しました。

後日その作成したパワーポイントを協会の運営メンバー、コーチ陣、ナショナル選手、シニアメンバーに実際に共有しました。作成したスライドの一部を後ほど少し紹介させていただきたいと思います。この大会で見つけることができた課題点、このパワーポイントからさらに今後私たちが大きく成長できるように継続的に熱心に活動していきたいと思います。

「人は高くジャンプするには、大きく屈伸してから飛ぶと高く飛べる」という言葉があるように今私たちは今後高く飛ぶための屈伸をしてる時間だと思います。次に絶対に大きくジャンプできるように今一度きちんと見つめ直して、協会運営メンバー、コーチ陣、選手が一丸となって高く飛べる準備をしていこうと思います。


アップの様子


アップ後のストレッチの様子

大会後にまとめた課題点等のスライドの一部


このスライドでは、柔道における8つの方向移動と後の先の動きについて説明しています。


このスライドでは、私たちが今後さらにステップアップしていくにはどんなことを集中して行っていくのかを説明しています。

Other Shot of BJA

今回も最近のブータン柔道協会のオフショットを少しばかりですが、ご紹介したいと思います。


タイ国際大会の出発前にSNS用に出場チームで集合写真を撮影した様子


大会直前の様子

さいごに

上記に記載したように、私たちは9月22日からタイで開催されたThailand International Judo Tournament 2024に4名の選手が出場しました。22日の大会に先立って私たちは、19日にブータンを出発し、翌日からタイで大会へ向けて調整練習等を行いました。22日に行われた大会結果ですが、出場した選手全員が1回戦、2回戦敗退で終わってしまいました。敗戦後も敗者復活戦のチャンスがあった選手もいましたが、その敗者復活戦も敗戦で終わってしまいました。

前回私たちが出場した台湾の大会について記載されていただきました私の活動報告の最後に次戦のこのタイでの大会では、1勝でも勝ち上がり、結果を残してブータンに帰国したいという風に記載しましたが、実際には、今回も叶うことができませんでした。

しかし、敗戦をしたものの選手たちは自分の持っている力を出し切って戦ってくれましたし、これまでやってきたことを発揮しようと奮闘してくれました。敗戦しましたが、彼らの技や身体能力自体は他国の選手たちと大きく変わらないとも私は強く感じました。また、この大会に向けて選手たちは必死に準備をしてきましたし、私と同じ、それ以上の気持ちで「今回は、絶対に結果を残してやる」という気持ちで戦ってくれました。

悔しいという気持ちがこの大会に出場した全員がものすごく感じましたが、私たちはこの敗戦をただの敗戦に終わらせないで、次の試合こそ絶対に結果を残せるように準備をしていかなければいけないと思います。

この大会以降正直選手たちの気持ちはとても厳しい状況が続いています。

そんな厳しい状況だからこそ、きちんと私たちにどんなことが足りないのか?次に結果を残すためにどんなことを強化していく必要があるのか?を運営陣、コーチ陣、選手全員で考えていきたいと思います。

このことは大会の内容とは少し外れますが、私自身残すブータンの任期が、この10月で5ヶ月となります。この5ヶ月という期間はきっと長いようで本当にあっという間になると思います。そんな5ヶ月は、私が彼らに残して行けることを全て残していきたいと思いますし、最後まで私も諦めずに残りの期間活動していきたいと思います。

また、次の私のポジションのコーチが決まっています。そのコーチにきちんとバトンを渡せるように残りの期間頑張っていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

次回について

次回は、最近のブータン柔道の様子などについてお話ししていきたいと思います。

少しでもこの記事を見てブータン柔道について興味を持っていただいたり、応援してくださったりすると嬉しいです。

さいごまでご覧いただきいただきありがとうございます。

Kadrin Chhe la(現地語ゾンカ)ありがとうございました。
Lok jae ge la(現地語ゾンカ)また会いましょう☺️

各種SNS

☆Bhutan Judo Association official Facebook
https://www.facebook.com/BhutanJudoAssociation?mibextid=LQQJ4d

☆福井勇貴 活動アップロード Instagram
https://instagram.com/jocv_fukui_yuki?igshid=MjEwN2IyYWYwYw==


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