ラオス🇱🇦より【サバイディー柔道物語!No.8】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

東南アジアのインドシナ半島に位置するラオス人民民主共和国🇱🇦でJICA青年海外協力隊として活動をしている菊地友輝さんからの報告です。


サバイディー柔道物語!🇱🇦No.8

※サバイディージャパンフェスティバルの集合写真の様子(ビエンチャン柔道スクールの選手たちとコーチ勢)

JUDOsのホームページをご覧の皆さん、ສະບາຍດີ!(サバイディー!こんにちは!)

JICA海外協力隊として東南アジアのラオスという国で柔道コーチをさせていただいています。菊地友輝(キクチトモキ)です。

上記にある写真は、先日行われたサバイディージャパンフェスティバルで柔道演武をした際の集合写真になります。2025年に日本とラオスの外交関係が70周年を迎え、「日ラオス外交関係樹立70周年記念事業」として益々盛り上がっている中、在ラオス日本大使館が主催とするフェスティバルを開催することができました。会場にはJICAのブースも出展していて、ラオス産のハンドメイド雑貨やカフェ、日本の人気グルメやお菓子などが並び、2日間の開催でたくさんの人で賑わっていました。

私たちはその中で、柔道の演武の披露、子どもたちは受身の紹介から技の紹介、私とラオス選手はちょっぴり面白いでもかっこいいというイメージで演武をしました!(笑) 会場が盛り上がっていたのを今でも覚えています。大声の出しすぎで、この後、喉がやられたのは子どもたちにも内緒です。子ども達には、かっこいい先生でいたかったので。演武後には集合写真も撮影し、素敵な思い出ができました。日本とラオスの文化や食、そして人々との交流を楽しめる素晴らしいイベントでした!

さて、ラオスに来てから1年が経ちました!先日、1年間の中間報告会があり、同期との話の中で「もう1年経ったんだね〜」としみじみ。あと1年をどう過ごすか、自分のやれることはやって、目標に向かってやり切りたい。そして、ケガや事故もなく、楽しむことを一番に過ごしていきたいと思います!

時間がゆっくりと流れるラオスで、もはやラオスに慣れて日本で仕事ができない・・かも!?(笑) そんな甘ったれた気持ちはよくないですね。ラオス人の性格は「やるときはやるぜー!」なんです。実は、お昼ご飯がキンビア(お酒飲むこと)タイムに変わることもしばしば。職場の人が出勤してこないな〜と思ったら、「今キンビアしているから遅れる!」って連絡が来ることも(笑)。地方の職場によっては、そういう話があると聞きます。もう一度言います。地方ですよ?

時間に遅れる、決めていた時間から準備をする、言ったことは殆どOKというけど、忘れたり気分が変わって話が変わったり…そんなことがあってもラオスに1年もいれば日常茶飯事で慣れてしまいます。最初は言いたいことがたくさんありましたが、今ではラオス人が大好きです。本当に優しい性格なんだなと。逆に日本で基準にしていたことが、今ではそっちの方が厳しいんじゃないかな?って感じることがあります。ショッピングモールなどに行くと、店員さんたちはお客さんがいないと携帯を触って休憩で、ゲームしていたり、座っていたり。日本もそれでいいじゃないかって(笑)、思う次第です。


中間報告の発表時の菊地、発表途中、ウケ狙いが仇となり、同期、職員が一瞬にして苦笑い。それが数回実施される。自分を褒めたい

 

アジア選手権大会

先日、タイのバンコク県でアジア柔道選手権大会が開催され、ラオス柔道連盟に所属する監督と選手2名に同行し、コーチとして選手のサポートをしてきました。

結果については、-66kg級のチャルンサイ・サヤサン選手と+100kg級のカムサイ・ヴォンパチャーン選手は初戦で敗退しました。一見すると残念な結果に思えるかもしれませんが、実はこの経験が選手たちにとって大きな成長のきっかけとなっています。ふたりとも日本代表選手との対戦でした。このことを、ポジティブに捉え技術や体力の差を実感する貴重な機会だと感じ、彼らの経験値を高めてくれたと思っています。

負けたらなぜ負けたか、勝つも負けるも原因があってそれが結果に繋がること、練習についても振り返ることが大切ですし、私もそれを選手時代のときは肌で実感していました。試合後に選手たちと話をたくさんして、ポジティブに捉え、今後の練習やトレーニングに活かしていきたいと思います。

試合中や試合会場に入る前に思ったんですけど、やっぱりコーチって楽しい。選手が負けたときは悔しい、勝ったときはうれしい、会場に入るときはドキドキする、こんな純粋に感情を感じたり、共有できたりって普通はできないですよね。私も日々精進です。選手と一緒にまた力を付けて臨みたいと思います。

引き続き応援よろしくお願いします!


試合前のアップ(練習)の様子、実はこの試合前のアップがしんどい。息を上げる(心拍数を上げる)

スポーツ選手は試合前にアップをして心拍数を上げます。色々な考えがあって、体温を上げて筋肉の柔軟性を高めるとか、神経系を高めて筋肉の反応や集中力を上げるとありますが、私自身、自分を鼓舞するような精神的な要素の方が高いイメージです。緊張や不安をなくすみたいな。ふざけるのとは別に、気持ちを盛り上げて皆で話(アドバイスや研究)をしながらでもよいかなって思っています。人それぞれ集中の仕方ってありますもんね~。


選手たちよ、もっと笑ってください・・。これからもよろしく!

柔道新ルールセミナー(概要説明と実習)・・

 先日、IJF(国際柔道連盟)の審判をされている先生をお迎えして、「新ルール講習&実習」を1日かけて実施しました。ナショナルチームの選手には普段の練習から説明はしていましたが、試合動画を使いながら「この技は正しい判定?」「ここは反則?」と、ケースごとにじっくり検証する機会は今回が初めてで、正直私にとってもとても勉強になりました。幼児から小中学生まで幅広い年代の参加だったため、コーチ陣がおやつタイムや小休憩を入れながら場を盛り上げて対応です(笑)。


試合動画を見ている様子:段々飽きてくる選手や眠くなってくる選手たちも・・?

講習中、私は気になるポイントがあるたびに質問していたのですが、最初は周りが遠慮している雰囲気もあり、私だけが質問する形で場を和らげてしまったことにはちょっぴり恥ずかしさもありました(笑)。しかし、その姿勢が他の選手やコーチからも「自分も聞いてみよう」という空気を生むきっかけになったと感じています。今回の講習を通じ、新ルールの理解はもちろん、「質問しやすい雰囲気づくり」の重要性や、選手・コーチ全員で学ぶ意義を改めて実感でき、とても有意義な1日となりました。こういう機会がたくさんあるとラオス柔道にとっても学びがあるかなと感じましたね。

Vientiane Judo Academy


ジュニアクラスの集合写真、昇級試験に合格し賞状を持つ選手も。帯色が変わるとうれしいよね~

毎週土曜・日曜、Vientiane Judo Academyでは、午前は幼児クラス、午後は2部に分かれてジュニアクラスを開催しています。たまに、柔道経験者の成人男性や女性が来られて、子どもたちに稽古をつけることも。クラスのコーチは、基本2~3人で回しています。メインは、ラオス代表としてSEAGAMEs(東南アジア競技大会)で「形」で優勝経験もあり、講道館で形の研修やセミナーにも参加していた、知識と経験が豊富な女性です。基本に忠実な反復練習スタイルで、ちょっとスパルタ?かもしれませんが(笑)。

子どもたちはたま~に嫌な顔をすることがありますが、一生懸命取り組んでいます!

私はその練習の補助を担当しており、技のデモンストレーションをしたり、体操やトレーニングを進行したりしています。体操の際は日本語で数を数えたり、グループごとの体を使ったゲームも取り入れたりと、子どもたちと一緒に楽しく活動しています。子どもたちがまた一生懸命している姿が可愛いんですよね~。

終わりに・・

これから予定している大会に向けて、日々の練習の中で体力や技術の改善点を選手と共に探りつつ、一緒に取り組んでいくことが重要だと感じています。柔道における“強さ”は、結果だけで測れるものではありまんが、自分の目標や結果が伴ったときの喜びを分かち合うことはとてもうれしいと感じますよね。選手たちは“強さ”の意味をより深く考えられるようになるかなーと。メダルって嬉しいですもんね(笑)。

先を見据えて正しい方向へ導き、日々の生活のなかで生き方を教えていける存在こそ、「先生」であり教育者なのかなと考えました。そしてそれが私自身の目指す姿なんだろうなって思います。

それではまた!次回をお楽しみに~!

ພົບກັນໃໝ່(ポップカンマイ、また会いましょう!)

ໂຊກດີ(ソークでぃ、幸運を)


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