ブータン🇧🇹より【カディンチェ柔道日記!No.16】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

南アジアのブータン王国でJICA青年海外協力隊として活動をしている福井勇貴さんからの活動報告です!


※Kadrin Chhe la(現地語 ゾンカ)ありがとう
ブータン柔道はこれまで多くの方々のご協力、支援があってここまで来ました。
そんな感謝の気持ちからタイトルコールはカディンチェとさせていただきました。

皆様、お世話になっております。

JICA海外協力隊としてブータンナショナルコーチをしています。福井 勇貴(ふくい ゆうき)です。

ブータンではそろそろ夏が終わりを迎えてきて、日中には暖かく、夜は少し肌寒い季節になってきました。9月に入りましたが、9月はブータンには大きな伝統的なお祭りが開催されます。

そのお祭りでは、宗教的儀式や伝統的な舞踏が中心で,8世紀の偉大な高僧であるグル・リンポチェの生涯と功績を祝うために行われます。ブータンに来て約2年半になりますが、これまで2回ともこのイベントへ参加を逃してきたので、今年は友人が日本から来るということもあり、お祭りに参加してみたいと思います。

さて今回のテーマは前回の最後にお伝えしたように、7月14日に台湾にて開催されましたTaipei Asian Judo Open 2024にブータン柔道協会から3名の選手が出場しました。その大会の様子や裏側等についてお話しさせていただきたいと思います。

Bhutan Team台湾へ向けて出発

上記に記載させていただいたように7月14日に台湾にて開催されましたTaipei Asian Judo Open2024に出場すべくブータンから台湾へ向けて出発しました。

今回も私たちは、ブータンからタイを経由しタイから台湾へ向かいました。

個人的にも、私はこれまでに台湾へ行ったことがなかったので、少し楽しみにしながら台湾へ向かっていました。ブータンからタイの約5時間のフライト、到着後約11時間のスワンナプーム空港でのトランジットをし、台湾に翌日の17時に到着しました。到着後は各自夕食をとり、休養の時間に充てました。

私は、1日半シャワーを浴びることができなかったため、夕食前にシャワーを浴び、着替えてから少し事務作業をしようと思っておりました。しかし、私たちがチェックインした際にトラブルが発生していたことに気が付きました。

予算の関係から私たちは当初1番費用のかからないホテルを予約していました。しかし、何かの手違いで1番いいホテルに予約がされていたのです。気が付いて、すぐに大会運営側にメールでの問い合わせをしたのですが、30分程度待っても連絡がつかなかったため、ホテルの中を動いて回っていたところ、大会運営の仮設オフィスがそのホテルの会議室に設置されていたのを見つけました。そこでは、数人がオフィスの設営をしており、その中に、台湾柔道連盟の事務局長さんもおられました。事情を話したところ、理解してくださり、迅速かつ丁寧に対応してくださいました。ホテルの予約手違いを見つけて約1時間以内に全て解決し、到着したその日はそのまま同じホテルに宿泊し、そのホテル代も元々私たちが予約していたホテルの料金と同じにしてくだました。翌日の夕方に元々予約していたホテルへ移動するように手配もしてくださいました。

台湾柔道連盟の皆さんにはとても感謝でいっぱいです。

私たちは限られた予算で国際大会へ出場しているため、選手とコーチの私のみでの参加になります。私はコーチ、チームオフィシャル、練習パートーナーを同時に行っています。

今回のように大会先でトラブルが発生した際には、全て私が運営側等と話し合い等をして解決する必要があります。2022年からブータンで指導を始めて、2023、2024年には合計8つの国際大会への引率をさせていただいていますが、毎大会多くの経験をして、人間的に少しずつ成長することができているように感じます。

 
台湾国際空港へ到着直後のブータンチームの様子


到着翌日の朝食の様子

Day1 of Taipei

今回は大会まで中二日半というスケジュールを組んだので、到着から一夜休養を経て、朝食を全員でとり、午前11時から大会会場での調整練習を行いました。

調整練習では、大会当日と全く同じウォーミングアップを行い、打ち込み、3人打ち込み、投げ込み、組み手の練習、組み手がメインの乱取り等を約1時間行い、汗を流しました。

今回出場した3人のうちの2人は減量があったため、調整練習後は各自でランニングをして計量に備えました。調整練習後は、入念なストレッチを行い、ホテルへ戻りました。7月の台湾はとても日差しが強く、湿度もあり、ホテルから大会会場までは、歩いて約10分程でしたが汗だくになりました。ホテルに到着後は各自シャワー、昼食をとり15時まで各自休息時間にしました。

上記で記載のように、ホテルの移動が15:00過ぎからあったので、身支度を行い、15:00過ぎにそれまで滞在していたホテルからタクシーで元々予約していたホテルに移動しました。

ホテルを移動後は、各自休養の時間にしました。


調整練習へ向け支度をしている選手たちの様子

調整練習中の様子

 

Day2 of Taipei

二日目は、私が朝から大会の選手登録があったので、各自ホテルで朝食を取り、会場へ向かい、約1時間の待ち時間を終え、登録を終えました。

待ち時間には、ハワイから出場されるチームのコーチと話す機会があり、色々ブータンについて話したり、ハワイ柔道について聞いたりしました。1時間程度待ちましたが、その1時間もあっという間に感じるほど、彼との話で盛り上がりました。柔道を通じた国際交流というのはやはり素敵ですね。

そこから大会会場での最後の調整練習を予約していたので、会場に向かい、選手たちと合流して、ウォーミングアップや幾つかの調整練習を約1時間程度行いました。

そこから私は14時からテクニカルミーティングがあったので、ミーティングがあるホテルのすぐ横のスターバックスで少し作業をして、スーツに着替えてテクニカルミーティングに参加しました。このテクニカルミーティングでは、大会日程の共有、注意事項、大会抽選が行われました。これまで8回の国際大会の引率の経験をしていますが、何回テクニカルミーティングを経験しても一人での参加は少し緊張しますね。

抽選後は近くのカフェでミーティングでの内容をふまえて、翌日の大会への準備を行いました。その後はホテルに戻り、各自休息の時間にしました。


調整練習の様子

テクニカルミーティングの様子

 

Day 3 of Taipei  (Tournament Day)

この日はいよいよ大会当日ということで朝食を全員でとり、朝8時にホテルを出発し会場へ向かいました。会場到着後はウォーミングアップの準備等をし、全員でウォーミングアップを行いました。

大会初日のこの日はブータンチーム全員が試合の日でした。

-60kg級に出場したブータンチームのYeshay NidupはカザフスタンのDilshod Mirtursun選手との一回戦で対戦しました。

結果は、試合開始から1分半後を過ぎた時に相手選手の巴投によって技ありを取られ、3分を過ぎた時に同じく巴投で崩されたところ袈裟固めの押さえ込み10秒を取られ一本負けしました。

-66kg級に出場したブータンのKinley Tsheringは第1シード、出場数が9人ということで実質3回戦からの出場でした。その3回戦では、韓国のTaehwa. Lee選手と試合でした。

結果は、開始2分が過ぎた時に、Lee選手の背負い投げで技ありを取られ、その30秒後にLee選手の肩車で同じく技ありを取られ敗戦しました。Kinleyは3回戦からの出場ということで、敗者復活戦のチャンスがありました。

敗者復活戦はオーストラリアのTimeo Touriner選手と行いました。

敗者復活戦の結果は本戦の4分は、両者とも技ありを1つ取った状態で、ゴールデンスコアに行き、ゴールデンスコア開始から約1分が過ぎた頃、Timeo選手の背負投によって技ありを取られて敗戦しました。

-73kg級に出場したブータンのTandin Wangchukは日本のDeguchi Junya 選手との一回戦でした。結果は、開始30秒Deguchi選手の小内刈で技ありを取られ、その後開始1分半後が過ぎた時にDeguchi選手の一本背負い投げによって2つ目の技ありを取られ敗戦しました。

今回の大会では私たちは、どうしても結果を残したかったのが正直な気持ちでした。

現在ブータンオリンピック委員会の財政状況が厳しく、私たちブータン柔道協会の予算も削られていっているのが現状です。

正直、外国人の私からしたら、これが一国のオリンピック委員会かと思うほど、予算規模が小さく、厳しい状況です。

だからこそ今回の大会で私たちは結果を残し、少しでもオリンピック委員会からの印象を変えたいという思いがありました。しかし、全員が善戦をしたものの惜しくも敗戦という結果になってしまいました。今回の大会での反省をチームの中でしっかりと共有して次回の大会に活かしていきたいと思います。

また、次戦では出場者全員が結果を残せるようにチーム一丸となって万全な準備を行っていきたいと思います。

Other Shot of BJA

今回も最近のブータン柔道協会のオフショットを少しばかりですが、ご紹介したいと思います。

大会前のマッサージをしている様子

朝食会場で朝食を選んでいる様子

大会直前の出番を待っている様子

さいごに

今回は、7月14日から台湾で開催された、Taipei Asian Judo Openへの国際大会出場についてお話しさせていただきました。

今回のこの大会へは3名の選手がブータン柔道協会から出場しました。

4月の香港で開催されたアジア選手権に出場してから約3ヶ月後の今回の大会で、私たちの所見としては、十分に勝てるチャンスがあり、全員が結果を出して、帰国しようと出場しました。しかし、今回の大会でしたが、全員が善戦を繰り広げたものの、惜しくも結果を残すことができませんでした。

また、私たちは、ブータンのナショナルアスリートチームとして出場しており、国のニュースに取り上げてもらったりと国内でも注目されています。その中で結果を持ち帰ることができなかったことに私も正直悔しい気持ちでいっぱいですが、次に繋げるために前に進んでいき、次戦では必ず結果を残せるように日々精進していかなければいけないと思います。

今回の大会では、良い課題点、良くない課題点もどちらもたくさん見つけることができたと思います。その課題点をまたしっかり見つめ直して、次戦で活かしていきたいと思います。

また、次戦として予定しているのが、9月19日から開催される、Thailand International Tournament 2024です。その大会では、必ず結果を残し、表彰式でブータンの国旗をかけ、ブータンにメダルを持って帰って来られるように、チーム全体で全力で準備していきたいと思います。

今後もブータン柔道を応援してくださると幸いです。

次回について

次回は8月14日からブータンで初となるYouthの国際大会を開催しました。

このYouthの大会では、ブータン2チーム、タイチーム、インドチームが参加してくださりました。また、この大会の前後の日程では、柔道キャンプも実施しました。次回は、そちらのイベントについてお話しさせていただきます。

少しでもこの記事を見てブータン柔道について興味を持っていただいたり、応援してくださったりすると嬉しいです。

さいごまでご覧いただきいただきありがとうございます。

Kadrin Chhe la(現地語ゾンカ)ありがとうございました。

Lok jae ge la(現地語ゾンカ)また会いましょう☺️

各種SNS

☆Bhutan Judo Association official Facebook
https://www.facebook.com/BhutanJudoAssociation?mibextid=LQQJ4d

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