ブータン🇧🇹より【カディンチェ柔道日記!No.15】

JUDOsでは、海外で柔道指導者として活躍されている方々の声をお届けする「海外からの柔道指導だより」を掲載しています。

南アジアのブータン王国でJICA青年海外協力隊として活動をしている福井勇貴さんからの活動報告です!


カディンチェ柔道日記🇧🇹🥋

※Kadrin Chhe la(現地語 ゾンカ)ありがとう
ブータン柔道はこれまで多くの方々のご協力、支援があってここまで来ました。
そんな感謝の気持ちからタイトルコールはカディンチェとさせていただきました。

 

皆様、お世話になっております。JICA海外協力隊としてブータンナショナルコーチをしています。福井 勇貴(ふくい ゆうき)です。

パリ五輪の全日程が終了しましたね。世界各国でとても盛り上がりを見せていましたね。

柔道競技も全日程が終了し、日本代表チームは個人金3,銀2,銅3,総合第2位という結果でしたね。連日私もブータンからVPNを繋いでTverやNHKプラスで柔道競技を初戦から観戦していました。

その中でも特に印象に残っているのは、永瀬選手の試合ですね。世界的にも現在中量級の勝利が難しくなってきていて、相当研究されている中で、東京に続いての2連覇、リオ五輪からの三大会メダル獲得と、試合を見ていてとても胸が躍らせられました。

さて今回のテーマは前回の最後にお伝えしたように、6月28日から私たちブータン柔道協会が開催しましたSummer Judo Campの様子とキャンプの最終日程のNational Summer Color Belt Testについてお話しさせていただきたいと思います。


National Summer Judo Tournament 2024

6月28日から14日間のSummer Judo Campを行いました。キャンプの最終日程では、7月13日にNational Summer Judo Tournament2024、7月27日National Summer Color Belt Test2024を開催しました。

この章では、13日に開催しました国内大会についてお話しさせていただきます。ブータンでは、毎年2回夏と冬の長期休みに国内大会を開催しています。

今回は、首都のPelkhil柔道クラブ、Zilone柔道クラブと、ブータン南部にあるゲレフという地方のゲレフ柔道クラブの総勢45名が参加しました。

今回の大会では、ブータン柔道協会に在籍するアシスタントコーチ、ナショナルアスリートが大会の運営担当となり、参加選手のカテゴリーの振り分け、組み合わせの作成、タイマー、レフリーなどといった運営を彼らが中心となって動いてくれました。

大会では選手たちが、日頃の練習の成果を発揮すべく、試合をしていてとても熱の入る試合内容でした。

全試合30試合を超える今回の大会でしたが、特に印象に残っているのが、U9歳の軽量級の決勝戦です。その決勝戦はどちらも首都の柔道クラブ出身の選手でしたが、一人は体重が30キロにも満たない柔道を始めて4年近くの女の子(チミちゃん)もう一人は、体重が35キロ程度のチミちゃんよりも体の大きい男の子で柔道歴1年程度の男の子(ガワン君)でした。会場にいた誰もが体格差を見てガワン君が勝利するかもしれないと思っていました、試合が始まって1分半はやはり体格差のあるガワン君が積極的に技をかけていて優位に進めていましたが、試合時間残り約20秒になった時に、チミちゃんの立ち背負投げで体格差の大きいガワン君を投げ一本を取り、勝利を収めました。背負い投げで一本を取った瞬間会場は大きな拍手で溢れました。私を含めたコーチ陣、スタッフも彼女の背負投げにはものすごく驚きましたし、嬉しい気持ちになりました。彼女は普段から一生懸命練習に取り組んでいたので、その練習の成果をきちんと形に表すことができた私もとても嬉しい気持ちになりました。

まさに、「柔よく剛を制す」の言葉通りでした。

また、この大会でもう1つ私は嬉しく感じたことがあります。

それは、ゲレフという地方に柔道クラブができて約1年程度なのですが、毎国内大会に参加しています。彼らは、大会に出場するたびに実力をつけてきて、首都チームとも接戦を繰り広げています。

これまでブータン柔道は首都に2つの柔道チームだけで、その2つのチームも全員が顔見知りでいつも練習をしているメンバーでした。そんなこともあって、

競り合ったりライバル意識を持ちにくい印象でした。しかし、その中で地方チームができて毎回出場するたびに実力をつけてきてこれまで長年首都で練習をしてきた選手も勝つことが容易ではなくなって行き、日頃の練習次第でこれまで勝てていた相手にも勝てない状況になってきました。

私としてはこの状況がとても良い環境になると思います。日本でもそうですが、県内や県外でお互いを知っているチームでそのチームに負けないように、ライバル校を破るために、日頃から練習に励み、切磋琢磨して互いを成長していく。

そんな環境に少しずつなってきたことが私としてはとても嬉しいですが、選手たちもライバルチームの存在がとてもいい刺激、モチベーションになっている様子です。

今大会では、選手たちはもちろん、運営側である私たちコーチ陣やナショナルアスリートもとても良い経験になりました。今回の大会を通じて得ることができた経験を今後の大会運営やさまざまなイベント運営で活かして行きたいと思います。

少しばかりですが、大会の写真を添付しますので、こんな感じで試合をしていたのだと感じてくれたら嬉しいです。

 

テクニカルミーティングの様子

大会中の様子

National Summer Color Belt Test 2024

7月27日にカラーベルトテストを行いました。このイベントは上記でも書きましたが、キャンプの最終イベントとして行なっています。

今回も約30人の選手たちがこのカラーベルトテストに参加しました。

このカラーベルトテストは、これまでもいくつか説明をさせていただいていましたが、白帯から茶色帯までボーダーラインを設け、基本的な立技、寝技の技術に加えて、乱取りの試験をして、その乱取りでは、安全に受身が取れていてきちんと技をかけられているのかを確認しています。各技に5つの項目で採点し、その合計点がボーダーラインを超えていれば、合格になるように設定しています。また、採点者の個人の感情が入らないように、採点者は最低2名とし、採点者のアシスタントが1名付き採点をしています。

今回は、約30名の試験者が参加し、3名以外は合格となりました。

後日3名に向けて再試験を実施し、不合格になった3名も無事合格することができました。

選手たちもこの昇級試験が柔道を続ける1つのモチベーションにつながっていて、新たな色の帯をもらった時の選手たちの顔はとても嬉しそうにしていて、目がキラキラ輝いています。

今後も新たな色帯をつけて稽古に励んでいってほしいと思います。


オレンジ帯の試験をしている選手の様子

茶色帯の試験をしている様子

Other Shot of BJA


国内大会ビデオ係から愛を送ってます


レフリー頑張ってます

この柔道衣見たことあるぞ!ご寄付いただいた柔道衣大事に使わせていただいてます 


大会には保護者の方々も観戦に来てくれています


大会後閉会式で国際大会への出場者の決意表明

カラーベルトテストの審査員頑張ってます。

おわりに

今回は、7月13日に開催しましたNational Summer Judo Tournament 2024の様子と7月27日に実施しました、National Summer Color Belt test2024についてお話しさせていただきました。

まず、国内大会についてですが、今回は3つの柔道クラブ総勢45名の選手が参加しました。

今回の大会では、私以外のブータン人のアシスタントコーチやナショナルアスリートが大会の運営やマネジメントを取り仕切って開催しました。また、新たに導入した様々なシステムに運営陣は苦戦していましたが、無事に素敵な国内大会を運営することができました。

上記でもお話しさせていただきましたが、地方柔道クラブができて約一年が経過しますが、毎試合出場するたびに実力をつけてきて、これまで何年か柔道をしてきた選手も容易に勝つことが難しくなってきました。このことは選手たちにとっても良いことだと思います。

今後も全ての選手の活躍を楽しみに指導していきたいと思います。

次に、27日に実施しましたNational Summer Color Belt testですが、約30名の選手たちが昇級試験に参加しました。

この昇級試験では、一度は3名の選手が不合格にはなってしまいましたが、後日その3名も含めて全ての選手が合格して、新たな色帯を手にした選手たちは、とてもキラキラした様子で喜んでいました。

初級試験が終了して少し期間が経ちましたが、今回の昇級試験に参加した選手の中で新たな技を習った選手もいます。そんな選手たちが私の所へ来て「先生昇級試験でこの技やったけど乱取りではどうやってかければいいの?」「この習った技で今度投げてみたいんだけど」などと数人の選手が話してきて、私としてはとても嬉しかったですし、今後も一生懸命稽古に取り組んでいってほしいと思いました。

今後も私たちは、様々な大会の運営やイベントを開催予定ですので、これまで培った経験を元に皆で協力して活動を行なっていきたいと思います。

次回は少し今回の内容と前後してしまうのですが、7月14日から台湾にて開催されましたTaipei Asian Judo Open2024に出場しましたのでそちらについてお話しさせていただきます。

次回について

次回は上記に記載のように、7月14日に台湾にて開催されましたTaipei Asian Judo Open2024にブータン柔道協会から3名の選手が出場しましたので、そちらの大会の様子や裏側等についてお話しさせていただきたいと思います。

次回の投稿も楽しみして待っていただけたら嬉しいです。

少しでもこの記事を見てブータン柔道について興味を持っていただいたり、応援してくださったりすると嬉しいです。

何かブータン柔道などについてご質問等がございましたら下記の私のインスタグラムへご連絡ください。

今回も最後までご覧いただきいただきありがとうございます。

 

 

Kadrin Chhe la(現地語ゾンカ)ありがとうございました。

Lok jae ge la(現地語ゾンカ)また会いましょう☺️

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