柔道を楽しみ、柔道の魅力を引き出し、さまざまな方法で柔道の普及発展に取り組んでいる道場を紹介する「VISIT DOJO」特別篇モンゴルの道場にお邪魔しました。
こんにちは!広報の川戸です。9月中旬、遅い夏休みをいただき、モンゴル🇲🇳に行ってきました。
首都ウランバートルには、JUDOsから畳や柔道衣をお送りしたことのあるモンゴル柔道アカデミーとモンゴル国体育大学があります。せっかくなので、このふたつの道場を訪ねてきました!
モンゴル柔道アカデミーは、リサイクル柔道衣を、モンゴル国体育大学には畳を寄贈したことがあります。
モンゴル柔道アカデミー
〈JUDOsからリサイクル柔道衣を寄贈〉
元モンゴル柔道連盟会長のバトルンガさんが立ち上げた柔道クラブです。
モンゴルに初めてオリンピックの金メダルをもたらした、ツブシンバヤル選手(北京オリンピック・男子100kg級)の快挙により、柔道の人気が高まり、2009年に設立されました。
ウランバートル市内に4カ所、地方に2カ所の道場があり、約300名の子どもたちが通っています。2023年3月、経済的に柔道衣を手に入れることが難しい子どもたちがいると聞き、JUDOsから柔道衣を寄贈しました。
今回は、経済的には恵まれているウランバートル市内の道場を訪ねました。
モンゴル相撲のチャンピオンだった元横綱・白鵬の宮城野親方の父親が建設した施設(元カレッジ)を利用しています。道場は住宅街の中にある建物の1階にあります。柔道以外ではレスリング場としても使用されています。
この日は、小学生~中学生約50名が練習を行っていました。
道場の壁には嘉納治五郎師範の言葉と写真が飾られていました。
リサイクル柔道衣を着た選手も熱心に練習していました。
日本語の刺繍のある柔道衣はとても人気があるそうです。経済的に柔道衣を手に入れることが難しい子どもたちにうれしい気持ちを届けられたら、私たちもうれしいです。
道場の片隅では、初心者の子どもたちが練習をしていました。先生は、高校生ということです。優しく受身から学んでいました。
柔道アカデミー監督のゲンデン・バタエルデネさんに、どのようなことを大切にして指導に当たっているかお聞きしました。ゲンデンさんは、日本の東海大学で柔道を学んだこともあります。
「教育的な柔道を教えるようにしています。しっかり挨拶をすること、時間を守ること、礼儀をまもること、皆で一緒に頑張ることを特に気を付けています。
大会に行っても私たちの道場は、ごみを捨てて帰らないなど、マナーが良い道場として知られています。私は柔道をするにあたり、そういったことを学んでほしいと思っています」
道場の玄関。靴が綺麗にそろえられていました
モンゴル国体育大学
〈JUDOsからリサイクル柔道畳を寄贈〉
モンゴル国体育大学は、同国内のプライベート大学で唯一柔道を行っている大学です。
2023年5月に、NPO法人judo3.0「モンゴルの道場に日本から畳を贈りたい!」プロジェクトに、本法人からリサイクル柔道畳118枚を寄贈しました。その畳が届けられたのが、モンゴル国体育大学です。
モンゴル国体育大学は、30年以上前から柔道を行っている大学です。今年、グランドスラム・ウランバートル2023の会場「Steppeアリーナ」から車で5分ほどの場所にあります。この地域は現在スポーツ施設が建設されているそうで、同大学も今年この地域に移転したそうです。
同大学教授で医師のバヤ・エルデンに大学まで送っていただきました。大学では一般の方々にも道場を開放しており、様々な年齢の方が柔道をされているそうです。昔柔道をしていたけれど、柔道をする場所がない方など、一般の方も多く利用している道場と言うことでした。生涯スポーツとしての柔道に取り組み、40歳以上の女性が20名も通っているということでした。
バト教授はパラリンピックに13年間かかわっておられたそうです。視覚障害のある方々の通う道場とも関係があり、同大学卒業生が視覚障がい者の道場の指導者として活躍していまるそうです。
パラリンピックの選手もこの道場で練習をすることがあり、大学の壁にはパラリンピックの選手の名前の旗が掲げられていました。風にあおられてしまっていましたが…。
寄贈した畳を設置した道場。この日は、大学の授業は終わっている時間ということで誰も道場にはいませんでした。まだ、建物が完成して間もないため、畳の設置は完成ではなかったように見えましたが、道場は清潔に保たれており、発送時に皆で畳の清掃を行ったことを思い出しました。モンゴルの皆さんが大切に使用しているのが伝わってきてとてうれしかったです。
道場の壁には、「モンゴルの道場に日本から畳を贈りたい!」プロジェクトにかかわった方々の名前が掲載されています。私たちJUDOsの名前も掲載していただきました(一番上の左)。バヤ先生(左)は、日本からの畳の支援によって広い道場ができたことをとても感謝しているとお話されていたのが印象に残りました。
「前の道場は、試合場1面程度の大きさで窓もなかったのです。寒さの厳しいモンゴルの道場では、冬になるとカゼが流行ってしまったけれど、広い道場になったので皆が健康に柔道が出来るようになりました」と話しました。
その後、今まで使っていた畳を見せてもらいました。かなり使い込まれた畳を見て驚いていると、「畳があるだけでも環境が整っている道場だったのです」とバヤ先生。
「これは廃棄するのですか?」と質問すると「いいえ、この畳を切って、壁に貼り付けることでクッション材として使用できると考えています」という答えがかえってきました。
バヤ先生には、ウランバートル市内から大学までお送りいただきました。大学の説明やモンゴルの柔道事情についてもたくさん教えていただきました。一時帰国をしていた筑波大学大学院のチメグさんが同行し、通訳をしてくださいました。
皆さんのご協力で私たちがお送りした畳がモンゴルで使われているのを見ることができました。ありがとうございます。