VISIT DOJO~道場訪問~No.2「志茂柔道クラブ」

日本全国には、柔道を楽しみ、柔道の魅力を引き出し、さまざまな方法で柔道の普及発展に取り組んでいる道場があります。そんな道場を紹介することで、皆さんと一緒に柔道を盛り上げていきたいと考え、JUDOsは2024年より「VISIT DOJO」事業をスタートしました。


第2回目は、東京都北区赤羽の「志茂柔道クラブ」を広報の川戸が訪問しました。

志茂柔道クラブは、小学生と中学生が有段者とともに稽古をしています。道場は岩淵中学校武道場。稽古日は毎週日曜日です。

設立は2015年。代表の堀資雄先生が立ち上げました。

きっかけは、先生の友人のろうの子どもが、柔道を習いたいと、ある道場に入門を希望したところ、聴こえないことを理由に入門を断られたことだったそうです。そこで、すべての人々が練習できる柔道クラブを作ろうと考え、設立しました。

クラブでは、ID(知的※)、デフ(deaf※)、発達に問題を抱えている子どもたちが同じ時間に畳の上に立ち練習をします。

※ID=Intellectual Disability=論理的に物事を考えることが苦手な人
※deaf=聞くことが苦手な人(ろう、難聴、中途失聴など)

堀先生はこう言います。

「障がいをお持ちだったり、色々な事情を持った方が社会にはいます——僕は障がいという言葉は嫌いなんですが——それが社会だと思っています。その社会というものを子どもたちに経験してほしいのです。色々な事情があってもお互いに配慮ができれば、同じ畳の上で柔道をすることができます。危険はないと思っています。

この子は、こういう子なんだなということがわかれば、子どもたちは自然に配慮することを覚えていきます。例えば、うちにはダウン症の子がいるのですが、他の子と同じスピードで投げたらいけないんだなとか、ふわっと投げるといいんだな、といったことを自然に学んでいきます。子どもたちには最初に事情を説明しますが、あとはとくに何か言わなくても、子どもたちが自然に配慮をするようになります」

堀先生は、指導の間に声を出しながら手話も使います。
「これもデフ柔道選手への配慮の一つだと思っています」と笑顔で話しました。


打ち込みの回数を手話で伝えている様子。
志茂柔道クラブの子どもたちは、柔道も手話も自然に学んでいきます。

 

冷房がない武道館、休憩を何度も取りながらの練習でした!「扇風機に指を入れたら危ないからダメだよ~」年上の子がしっかり安全確認しながら、風にあたっていました。


有段者は全員指導者となるそうです。「礼法を教えるだけでも指導になります」と堀先生。高校生指導者もいるそうです

 


天井のライトを消すことで、ブザーが聞こえない方々に乱取りの時間が終わったことを伝えます


VISIT DOJOの取材でおじゃましたにも関わらず、体落としを教えていただきました。組んでくださった暁さんは、デフリンピックを目指しています

 志茂柔道クラブにはデフリンピック出場を目指す選手がいます。

日本で初めて開催されるデフリンピックとなるデフリンピック東京は、2025年11月に開催予定です。

デフ柔道もどんどん盛り上がっていきそうですね!

志茂柔道クラブの皆さん、ありがとうございました。