JUDOs研修経験者インタビュー

2020年1月に本法人が受け入れ、日本で研修を行ったアフガニスタン出身のザケラ・ホセイニ(Zakera  Hossaini)さんが、2024年国際柔道コーチングセミナー研修生で同国出身のフリバ・レザイーさんの働きかけで、カナダのケープ・ブレトン大学に入学することになりました。これからリーダー論や体育学を学び、大学卒業後は女性のためのプロのスポーツ指導者になることを目指しているそうです。ザケラさんをインタビュー形式で紹介します。


アフガニスタンと日本の国旗、JUDOsのロゴをザケラさんが刺繍してオリジナルのフラッグを作ってくれました。一針一針、丁寧に縫われています。(右がザケラさん、左がフリバさん)


先日、このフラッグがJUDOs事務局にエアメールで届きました。フリバさん、ザケラさん、ありがとうございます!

【プロフィール】Zakera Hossaini
ザケラ・ホサイニ/アフガニスタンの首都カブールで14歳のとき(現地では小学6年生)に柔道を始める。30歳。

Q. なぜ柔道をはじめたのですか?

柔道というスポーツを選んだのは、スポーツの要素がすべて含まれているからです。トレーニングではランニングやウェイトリフティングをしますから。また護身術として優れているということも重要な理由です。

特にアフガニスタンでは護身術が必要でした。柔道が護身術でもあることは、私が柔道の最も好きなところです。私は護身術で世界チャンピオンになりたかったのです。

私のロールモデルは、2人のアフガニスタン人女性でした。1人目は、リナ・ガニさん。彼女はアフガニスタンで数年にわたり女子道場を運営していました。2人目は女性で初めてアフガニスタン代表としてオリンピック(2004年アテネ・オリンピック)に出場した柔道家、フリバ・レザイーさんです。私は彼女たちを尊敬し、彼女たちのように成功したかったのです。

私が柔道を始めた2008年〜2009年当時、道場には90人以上の女子がいました。まず、アテファ・フサイニコーチに教わり、後にリナ・ガニコーチに教わりました。私たちは週に3回練習しました。道場で走ったり、ストレッチをしたりといったウォームアップのような内容が中心でした。私の道場には、私より大きくて強い女子選手もいましたが、コーチのアテファが私の練習態度を見て熱意を感じ、女子選手のトレーニングのリーダーを引き受けるよう私を昇進させました。リナとは2018年まで一緒に練習しました。

Q. あなたの家族について教えてください。きょうだいは何人いますか?

私たちは大家族で、両親と兄弟が6人、妹が2人がいます。 私は家族の中でプロとしてスポーツをする初めての女性です。 私の父はかつてレスラーで、アフガニスタンの伝説的なレスラー、イブラヒムと一緒にトレーニングしていました。 アフガニスタンでは誰もが彼のことを知っています。

Q. アフガニスタン以外で柔道のトレーニングを受けたことはありますか?

2020年1月に、日本の東海大学で光本健次先生から柔道指導を受ける機会を得たことをお伝えしておかなければなりません。この研修はNPO法人JUDOsが企画・主催したものです。日本での研修の後、特に柔道コーチやチーム、指導者たちと交流したことで、さらにトレーニングを続けたいと思うようになりました。日本への旅は、私にとって大きなモチベーションと原動力となりました。


2020年1月、本法人ではザケラさんを含む3名のアフガニスタン人選手を受け入れました

Q. ケープ・ブレトン大学に入学したきっかけは?

私は、スポーツウーマンであり、「Women Leaders of Tomorrow(WLOT)」の創設者兼エグゼクティブ・ディレクターであるフリバ・レザイーさんに、スポーツ学や体育学を専門的に学びたいと伝えたからです。そして、カナダのケープ・ブレトン大学の奨学金に応募しました。WLOTは、カナダへの出願を完了させるために、メンターと英語指導者をつけてくれました。

私はケープ・ブレトン大学でスポーツとフィジカル・コミュニティ・リーダーシップについて勉強します。私の最大の夢は、大学を卒業し、女性や少女のためのプロのコーチやトレーナーになることです。

Q. アフガニスタンでは、他に柔道をしている女の子はいましたか?

はい、アフガニスタンのカブールにある3つの高校、Sorya高校、Rabia Balkhi高校、Zarghoona高校で女子がトレーニングをしていました。2021年8月にタリバンが支配する前に、この3つの高校で約90人以上の女子生徒が柔道をしていたのを知っています。私自身も生徒の一人でしたから、彼女たちと一緒にトレーニングしていましたし、彼女たちとの練習は心地よかったです。

最年少は小学2年生で、最年長はラビア・バクリ高校の12年生、ホマイラでした。彼女たちは私の道場に練習に来るのを楽しみにしていました。マットの上に来ると、いつもストレスを忘れて楽しんでいました。彼女たちは、道場はすべての夢を実現できる場所だと信じていたのです。

彼女たちは働き者で、そのほとんどが結婚し、今はもう稽古をしてはいません。私たちはよく稽古後に写真を撮りました。そしてこの写真は、私が彼女たちに再会できる唯一の機会となっています。

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カナダで二年ぶりに柔道の練習を開始したザケラさん
ザケラさんのカナダの日々が充実したものとなるよう願っています。