東京オリンピック・パラリンピックの柔道会場でボランティアを行った事務局員並びに、日ごろからリサイクル柔道衣活動や海外からの選手の受け入れ担当などでJUDOsの活動にかかわっている東海大学の学生より、ボランティアの感想が届きました!
ご紹介いたします。
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事務局 小澤浩子
私にとって、1964年の東京オリンピックは、白いハトが飛び立つ様子をテレビ越しに見た記憶と父がアベベを応援していたという記憶しかありませんでした。それが再び東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることになり、柔道に関わるお仕事をさせて頂いているご縁で、ボランティアに応募しました。
コロナ禍での開催については、もちろん不安はありました。周りの目が気になり、ユニフォームもTシャツの下に着用して、武道館入りしたくらいです。・・・が、始まってしまうと選手はもちろん、それを取り巻くコーチやスタッフ、初めて出会うボランティアスタッフ、組織委員会の方々、皆一丸となって最高のパフォーマンスが出せる環境づくりに走り回っている渦に巻き込まれ、あっという間の17日間でした。
NPO法人JUDOsで2017年から3人、2019年から7人のIOC/OS奨学生の生活面でのサポートをしてきました。その中から6人の出場者が出たことに喜びを感じ、再会を楽しみにしていました。
【東京オリンピックに合わせて来日した元IOCオリンピックソリダリティ奨学生のフリアンさんと再会】
それぞれのカテゴリーの試合前日には武道館地下のアスリート練習場に、足を運び出会えた時には、本当に嬉しく晴れ姿がまぶしく感じました。
残念ながら、試合を直接は見られませんでしたが(仕事をしておりました)、モニター越しに応援し、彼らの集大成に立ち会えたことは、何よりのご褒美だと感じた次第です。
また、エベレストへの柔道衣支援のキッカケを作ってくれたオーストリアのサブリナさんにもお会いして、会報誌をお渡しできました。
彼女は、オリンピックが引退試合で、試合後正座をして深々と礼をされた姿にスタンディングオベーションで会場中からリスペクトされている様子に感動しました。
毎日、武道館の地下2階と地下1階を2万歩平均で歩き回って、いろんな世代のスタッフさんと交流できたことは、スポーツ大会ボランティアならではの経験かと思います。
オリンピック終了後、再びパラリンピックのボランティアにも参加しましたが、出場選手の数の違いもあり、アットホームな雰囲気がありました。当然試合は白熱するのですが、人を思いやる心をより深く感じたのは私の思い込みではないと思います。
大会では、井上理事長が男子監督、鈴木事務局長が映像分析スタッフ、紙谷理事がドクター、光本理事が組織員会コーディネーターとJUDOs役員、事務局メンバーや普段お世話になっている全日本柔道連盟の方々と一緒にTokyo2020に携われたこと、無事に終わったことに深く感謝し、ご報告いたします。
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FOP(Field of Play)チームメンバー(総務)
東海大学 池田希
- ボランティアに応募するきっかけ、動機
昔から海外の柔道に興味があり、東京でのオリンピック開催が決まった時から何らかの形で大会に携わりたいと思っていました。2019年柔道東京世界選手権大会の役員をした時に、目の前で数々の白熱とした試合を観戦し、会場いっぱいの観客と感動を共有でき、より一層柔道が好きになりました。これだけの感動を与えることができる柔道は、まだまだ発展していけると思ったのと同時に、“柔道の可能性”を感じました。そんな中で組織委員会の方からお誘いいただいて、TOKYO2020のボランティアに参加いたしました。
- ボランティア活動の具体的な内容、苦労した点
活動の内容としては、主に組織委員会、TO(Technical Official)の先生方、学生のボランティアの方々の繋ぎの役割をしました。学生に指示を出し、動いてもらうという役割でした。主に試合間の畳の清掃・消毒作業、予選ラウンドからファイナルラウンドの間の畳の転換作業、試合中は細かな事務作業を行いました。苦労した点は、上からの指示で動く役職ですが、なるべく指示を待つのではなく先を読んで行動することで、先手の指示出しをするように心がけました。しかし、思うように指示を出すことができずに、まだまだ未熟だと感じることもあり、その点で苦労しました。
- 活動の中で良かった点、勉強になったと思う点
何よりも、オリンピックという大会を、目の前で観ることができたのは、一生の財産となりました。日本の金メダル候補の選手達、何としてでも勝ってやるという気持ちを前面に出しながら戦う海外の強豪選手達、そして、日頃お手伝いさせていただいているJUDOsがこれまで支援してきた選手達の戦う姿を観て、一試合も目が離せませんでした。これだけ毎日柔道の試合を観たのは初めてで、飽きるどころか、日に日にのめりこんでしまいました。試合では、私は勝った選手よりも負けた選手の方に目が行ってしまいました。勝った選手は泣く選手もいれば、笑顔が弾ける選手、畳を降りるまで相手をリスペクトして顔色一つ変えない選手もいました。負けた後に相手を称賛する姿、畳を降りてコーチと泣き崩れる姿、様々な思いを持ちながらも堂々とインタビューを受ける姿に感動しました。活動の中では、海外の選手だけでなく、IJFの方々と接する機会も多く、英語に囲まれた生活でした。日頃勉強している英語をなるべく使って、あとはジェスチャーで乗り切りました。こちらの英語を理解してくれようとする人が多く、伝わった時は本当にうれしかったです。うまく伝えられないもどかしさがあったので、もっと英語を勉強して、スムーズに会話ができるように頑張りたいと思います。選手達は挨拶や、靴を並べること、礼をしっかりとすることなど、当たり前のことが当たり前にできている人が多く、全てのオリンピック選手の行動から、アスリートとして学ぶことがたくさんありました。
- 感想
オリンピック8日間、パラリンピック3日間の競技日程はあっという間でした。こんなにも柔道で充実した期間を過ごすことは、一生無いのではないかと思います。今回の経験を通して、より一層海外の柔道について興味が湧きましたし、より柔道が好きになりました。本来であれば昨年行われていたオリンピックが、一時は開催が危うくなり、それでも史上初の延期・無観客開催でしたが、無事に開催されて、これまで柔道を続けてきた柔道家としては嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。世界選手権のように多くの観客と一緒の空間で感動を共有することができなかったのが唯一の心残りではありますが、オリンピックにField Castとして関われた経験は、一生忘れられない想い出になりました。これだけの貴重な経験を、今後の柔道人生に活かしていきたいと思います。
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選手招集(オリンピック)・ 練習会場案内(パラリンピック)
東海大学 佐々木優大
1. 応募することになったきっかけ
世界選手権やその他の大きな大会を見ているうちに、自分も参加したいという気持ちがあったから。また、オリンピックのようなメガスポーツイベントに参加する経験は貴重な経験になると思ったから。
2. ボランティアの内容、苦労した点
選手が多いチームや少人数のチームなど、国によってそれぞれの雰囲気があるのを理解してコミュニケーションを取ることが難しかった。試合前の敏感になった選手やコーチのサポートをどこまでして良いのか分からなくて苦労した。
3. 活動して良かった点
世界のトップの選手らのアップから試合が終わるまでのほぼ全てを見ることができた。また、日本チームと海外チームでは雰囲気が異なっていたり、海外の選手のアップ練習が日本と違ったりするということに気が付いた。パラリンピックに参加することで、競技スポーツとしての柔道とは違う部分を強く感じられた。
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FOP (Field of Play) 大会前テストイベント・選手誘導・会場消毒
東海大学 河内香帆
- ボランティアに応募するきっかけ、動機
ボランティアに応募したきっかけは、以前世界選手権のボランティアに参加したことです。初めて世界選手権大会のボランティアを経験させていただいた際、大会を行うための準備や後片付け、選手のサポートなどを行い、大会が無事に終了したときには大きな達成感を味わいました。今回の東京オリンピックボランティアに参加する機会があることを知り、前回の経験を活かしてよりいいサポートができるのではないかと考え、ボランティアに応募いたしました。
- ボランティア活動の具体的な内容、苦労した点
大会前テストイベントでは、本番当日の試合を想定したリハーサルを行うために、柔道着を着用し選手代理として個人戦・団体戦ともに入場から試合、退場までの流れを行いました。審判の方々やタイマー係の方などの練習も行うため、事前に試合展開の指示があり指導や技ありなどの様々なシチュエーションを行うことが大変でした。
選手誘導では、試合を終えた選手の退場口に待機し、事前に貸し出した荷物を入れるためのカバンを監督から受け取り、消毒をしてから返却を行うという内容の仕事を行いました。勝負がついた直後に行う仕事のため、興奮している選手・監督が多く、バックの返却をスムーズに行うことができない場合がありました。また、団体戦ではコロナウイルス感染防止のために次の試合をする選手以外は椅子に座りマスクを着用することが必要であり、応援している選手や試合直後の選手・監督に呼びかけることが苦労した点でした。
会場消毒では、コロナウイルス感染防止のために畳の上に撒かれる消毒液を拭き上げるという仕事を行いました。この作業は試合を中断して行われ、消毒後すぐに試合が開始されるため、消毒液が残っていると選手が滑るという危険性があります。そのため、会場に消毒液が残らないように素早く拭き上げ、撤退することが大変だと感じました。
- 活動の中で良かった点、勉強になったと思う点
ボランティア活動の中で、自分の仕事を理解し実行できたことが良かったと思います。事前リハーサルで大会当日に行う仕事を把握し、実行することができました。また、コロナウイルスの感染対策として、消毒やマスク着用を呼びかけることなどを徹底して行うことができました。勉強になった点は、スタッフやボランティアの方々の大会に対する姿勢です。ボランティアやスタッフの方々とすれ違う度に、挨拶や声掛けをしてくださり現場の雰囲気が明るくなると同時に私自身も頑張ろうという気持ちになりました。また、この大会をより良いものにしようという気持ちが伝わり、私自身も励まされることが多くありました。
- 感想
東京オリンピックのボランティアを経験して、私自身が成長することができたと思います。ボランティアの仕事を通して、たくさんの人と協力することやコミュニケーションの大切さについて改めて学ぶことができました。今回の大会では、コロナウイルスの感染予防のためにマスク着用や消毒、PCR検査などが行われていました。毎日感染に気を付けながら活動することができたと思います。また、各国代表の選手たちの試合を近くで見ることができ、改めて柔道を頑張ろうと励まされました。この経験を通して、誰かのために行動することの大切さについて感じることができたため、周りの方々に支えられているという自覚をもって積極的に行動していきたいと思いました。
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東海大学 田谷紬希菜
オリンピックのボランティアを通して貴重な経験をすることができ、またスポーツが生み出す独特の一体感を体感することができました。
表に立っている選手だけではなく支える人たちも存在し勝った時には全体で喜んでいる姿がとても印象的でした。
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選手誘導、選手競技エリア
東海大学 田中陸
大会運営の1ボランティアスタッフとして活動して、様々な人の支えがあり大会が成り立っているということを感じた。また、他国の人々とコミュニケーションをとることが出来るという機会が自分にとって良い時間となった。多くの人とコミュニケーションをとる中で、様々な刺激を受けたので、この刺激を上手く昇華させていきたい。